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【主張】感染者の生活 手厚く支えて命を守ろう

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産経新聞

 新型コロナウイルスの感染者が、自宅療養中に亡くなる事例が後を絶たない。

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 昨年末から急激に悪化した医療現場の逼迫(ひっぱく)により、容体が急変するリスクが高い高齢の感染者でも、症状が重くなければ医療機関に入院できない状況になったことが大きな要因と考えられる。

 しかし、自宅療養死の原因はそれだけではない。

 民放の情報番組で自宅療養中の女性が「コロナで死ぬか、飢えて死ぬか」と語っていた。多くの自宅療養経験者が、行政からも世間からも見放されたような不安と孤独感を訴えている。

 自宅療養死の背景には、医療機関以外で療養する無症状や軽症のコロナ感染者に対する、行政や社会全体の冷遇があると、認識すべきである。

 自宅療養にしろホテルなど宿泊施設での療養にしろ、感染者は自らの行動を制限することで感染拡大の抑止に貢献している。療養生活に伴う不安や不利益をできる限り解消し、感染者の生活を支えることは、行政と社会全体の責務であるはずだ。

 現状はどうだろう。

 症状や健康状態の確認以外は、自宅療養者に行政の目は届いていないのではないか。食事を含め生活のすべてを当事者で行うしかない。日常生活を送りながら感染防護を徹底するのは、不可能に近いほど困難である。

 たとえば、食事や食材を届けるだけでも、感染者の不便は少し解消され、孤立感もいくらか和らぐのではないか。感染者自身が食事や食材を調達するよりも、感染拡大のリスクは小さい。

 そもそも、市中感染抑止の観点からは、自宅療養は弊害が大きすぎる。医療機関に入院できない感染者は、医師や看護師が常駐する宿泊施設での療養を原則とし、徹底を図るべきだ。

 自宅療養でも宿泊療養でも、感染者を支えきらなければ、隔離生活は維持できない。

 新型コロナウイルスの新規感染者数は、首都圏などで減少の兆しがみえるものの高い水準で推移している。逼迫状況にある医療機関では、患者の命を救うためのギリギリの戦いが続いている。

 医療機関以外で療養する感染者も手厚く支え、命を守り抜かなければならない。それが「コロナ差別」の解消につながる。

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