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【主張】日米首脳電話会談 なぜ「中国」を発信しない

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産経新聞

 菅義偉首相とバイデン米大統領が初めての電話会談を行った。

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 日米同盟の一層の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現へ緊密に連携していくことで一致した。北朝鮮の核・ミサイルと日本人拉致問題や新型コロナウイルス対策、気候変動問題での協力も確認した。

 バイデン氏からは、核の傘を柱とする「拡大抑止」の提供の決意や、米国の日本防衛を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用が表明された。

 これらは歓迎できるが、極めて物足りない点もあった。

 さまざまな問題を抱える中国に対して日米両政府がどのような姿勢で臨むのか。その発信がなかったことだ。

 発足直後のバイデン政権は、対中政策が定まっていない。

 ブリンケン米国務長官は、中国政府による新疆ウイグル自治区でのウイグル人への弾圧を「ジェノサイド」(民族大量虐殺)とするトランプ前政権の判断を踏襲した。米中関係について「敵対的な側面がある」とも語った。

 一方でホワイトハウスのサキ大統領報道官は「(対中関係は)戦略的忍耐も持ちながら進めたい」と語っている。オバマ政権が「戦略的忍耐」の方針で臨んだ結果、北朝鮮の核・ミサイル開発を許した教訓を学んでいない。

 バイデン氏の電話会談の順番で日本は、英仏独やロシアなどの後塵(こうじん)を拝した。バイデン氏が対中問題を最重要視しているなら、中国の隣国である同盟国日本を後回しにするとは考えにくい。

 バイデン氏は就任前から、同盟諸国と連携して中国に対峙(たいじ)していく考えを示してきた。

 これらを併せ考えれば、菅首相が電話会談でバイデン氏にとるべき態度は自明だったはずだ。中国の覇権主義的行動の問題点を指摘し、協力して抑えていこうと呼びかけ、その決意を内外に発信する必要があった。

 だが日本政府は、インド太平洋地域をめぐる意見交換で中国への言及があったとしたものの、「詳細は控える」として内容を明かさなかった。

 中国に気兼ねして国民への説明を怠ったのか、語りたくても内容に乏しかったのか。いずれにしても心もとない。正面から中国問題に取り組むことは国政を預かる首相としての責務である。

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