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【主張】米の対中政策 戦略的忍耐では生ぬるい

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産経新聞

 中国の習近平国家主席が、シンクタンク「世界経済フォーラム」(WEF)が主催するオンライン会合「ダボス・アジェンダ」で講演した。

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 習氏は米国を念頭に貿易戦争は「各国の利益を損なう」と指摘し、「新冷戦や制裁は、世界を分裂や対抗に向かわせるだけだ」と強調した。

 バイデン米新政権発足後、初めての習氏の国際舞台での発言である。トランプ前政権の対中強硬路線を批判することで、政策転換と協調を呼びかけたとみられる。

 ホワイトハウスのサキ報道官がただちに強硬路線の不変を表明したのは適切だった。

 中国との対決は、海洋などにおける現状変更の試みを阻止し、強権主義から民主主義を守ることが目的だ。そこには妥協の余地はないはずである。

 演説で習氏は、「違いを尊重し、他国の内政に干渉すべきではない」と語った。人権問題に厳しい姿勢を取るバイデン政権の機先を制する思惑があるのだろう。

 習氏は「対話で意見の食い違いを埋める」とも述べたが、発言をうのみにしないことが肝要だ。習氏は2015年に訪米した際、南シナ海について当時のオバマ大統領に「軍事化の意図はない」と語ったが、その後、軍事施設が建設されたのは周知の通りである。

 習氏の言葉を信じ、中国への関与政策を進めたのは、オバマ政権であり、副大統領を務めていたバイデン氏の新政権には当時の高官が多く名を連ねる。

 バイデン氏は、優先課題とする気候変動の分野では中国との協力を模索する姿勢を示している。そこをつけ込まれ、強硬姿勢が揺らがないか。内外でそんな疑念も強いと認識してほしい。

 気になるのは、バイデン新政権の対中政策が定まっていないことだ。サキ報道官は「新たな取り組みが必要だ。戦略的忍耐も持ちながら進めたい」と語っている。

 「戦略的忍耐」は、オバマ政権が北朝鮮政策で示した方針だ。忍耐という待ちの姿勢が、結果的に北朝鮮の核開発進展を許してしまった。これを想起すれば、相手が北朝鮮であれ、中国であれ、そうした態度には疑問符がつく。

 サキ報道官は対中政策の決定では「同盟国と話し合いたい」とも述べた。最も重要なのは、中国の隣国日本に他ならない。日米で急ぎ、方針を一致させたい。

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