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【主張】春闘スタート 雇用と賃上げの両立図れ

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産経新聞

 経団連と連合が賃上げなどについて話し合う労使フォーラムが開かれ、今年の春闘が事実上スタートした。

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 新型コロナウイルスの感染拡大で企業業績の二極化が加速しており、経営側は、雇用維持を優先して一律の賃上げには慎重な姿勢だ。

 これに対し、連合は基本給を底上げするベースアップ(ベア)を2%程度求める方針だが、主要労組の中でも賃上げの要求方針は分かれている。

 ここ数年の春闘は、政府が経営側に賃上げを求める「官製春闘」が定着していたが、今年は交渉の様相も大きく変わりそうだ。

 今後の労使交渉が、経営側の主張する雇用維持か、労組が求める賃上げかという二者択一の議論に終始すれば、多様な働き方など建設的な協議は期待できない。雇用を維持しつつ、業績に応じた賃上げの両立を図る必要がある。

 初めてオンライン形式で開催された労使フォーラムでは、経団連が「事業継続と雇用の維持が最優先」との立場を示した。コロナ禍で企業の業績に大きなばらつきがみられ、横並びでの賃上げは難しいとしている。

 一方、連合では日本は賃金が上がっていないとして、2%程度のベアなど着実な賃上げの必要性を強調した。定期昇給を含め4%程度の賃上げ要求だが、トヨタ自動車労組がベア相当分の要求額を公表しないなど、個別労組で要求水準は異なる見通しだ。

 各社が業績に応じて賃金水準を決めるのは当然だ。業界横並びでは、利益をあげている企業の賃上げが不十分になりかねない。賃上げは優秀な人材を確保するための投資でもあり、支払い能力がある企業は積極的な賃上げで従業員に応えねばならない。

 特にコロナ禍で深刻な影響を受けているのは、雇用形態が不安定な非正規社員が多い。これら従業員に対する待遇改善も急務だ。流通業などでは非正規社員を正社員に雇用転換する動きがある。非正規社員の雇用の安定策を含め労使で真剣に話し合う必要がある。

 産業界ではコロナ禍に伴ってテレワーク(在宅勤務)が広がっているが、労働時間の管理などが課題となっている。春闘ではそうした多様な働き方の就業規則の整備も欠かせない。職務や成果で賃金を決める「ジョブ型」雇用の導入も協議したい。

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