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【主張】農水省の癒着構造 政府は進んで実態解明を

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産経新聞

 農林水産省をめぐる癒着の構図は広く深い。誰しもそんな疑念を抱く。全容解明は捜査や公判ばかりに任せず、政府自らにその責任がある。先頭に立つべきはまず、農水相である。

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 東京地検特捜部が吉川貴盛元農水相を収賄罪で起訴した。鶏卵生産大手グループの元代表から大臣在任中に現金500万円を受領したとされる。吉川被告は授受を認める一方で「大臣の就任祝いだと思った」などと起訴の罪状を否定しており、現金授受の趣旨が公判の焦点となる。

 吉川被告は500万円以外にも大臣就任前と退任後に計1300万円も受領したとされる。これらには被告の職務権限が伴わないとして立件が見送られたが、全て政治資金収支報告書には記載がなく、明らかな脱法行為である。

 贈賄罪などで起訴された元代表は、鶏卵業界を代表して政官界工作に当たっていたとされ、内閣官房参与を辞任した西川公也元農水相にも吉川氏と同額程度の現金を渡した疑いがある。

 工作の対象は官僚にも及んでいた。野上浩太郎農水相は同省の枝元真徹事務次官ら幹部が吉川被告や元代表との会食に同席していたことを公表した。

 いち早い公表は評価できるが、野上氏は会食の費用について「政治家の負担との認識だったと聞いている」と述べた。国家公務員倫理法は利害関係者との飲食自体を必ずしも禁じてはいないが、飲食費用の総額の確認や自己負担分が1万円を超える場合の届け出などを求めている。倫理法に抵触する可能性があり、会食の目的も含めた詳細な調査が必要である。

 元代表による豪華クルーザーでの接待には元農水官僚も参加していたとの指摘もある。調査対象はOBに広げるべきだ。

 野上氏は第三者による検証委員会を設置して養鶏、鶏卵行政の公正性に関して検証すると述べたが重要なのはスピードだ。第三者委員会が時間稼ぎのためと揶揄(やゆ)されぬよう、まず、自ら明らかにすべき責務を果たしてほしい。

 今国会の最優先事項は新型コロナ対策である。農水省の癒着疑惑は真に由々しい問題だが、これに多くの時間を割くわけにはいかない。政府は進んで正確で詳細な調査結果を公表すべきだ。あいまいな姿勢で逃げ切りを図れば、それこそ国会は紛糾する。

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