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【主張】中国で邦人に実刑 人権侵害やめて釈放せよ

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産経新聞

 中国でスパイ罪などに問われていた日本人2人の実刑が相次いで確定した。いずれも、身柄の拘束時から事実関係が明らかにされないまま、判決が確定した。

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 重大な人権侵害だ。司法に名を借りて人身の自由を奪うことが許されてよいはずはない。不当かつ横暴な判決に強く抗議し、早期の釈放を求める。

 2人は1審の実刑判決を不服として上訴したが、いずれも棄却された。中国は二審制のため、懲役刑が確定した。

 棄却されたのは、2019年に懲役6年の判決を受けた日中青年交流協会の鈴木英司理事長と18年に懲役12年を言い渡された札幌市の男性だ。いずれも北京市の高級人民法院(高裁)が棄却した。

 鈴木氏は16年、シンポジウム開催の打ち合わせで北京を訪れた際に拘束された。札幌市の男性は15年に拘束された。コンサルタントとして日中間を往来していたとの情報がある。

 看過できないのは、2人とも、どの行為がスパイ罪に問われたのかが分からず、上訴審判決の詳細な時期すら不明な点である。一人は国家の安全に危害を加えたとされるが事実関係は分からない。

 事案がスパイ行為の有無をめぐるものであり、日本政府として扱いにくい面もあろう。だが、そこでお茶を濁していては、邦人保護への政府の覚悟が疑われる。

 中国における不透明な裁判は過去何度も繰り返されてきた。反スパイ法施行後の15年以降、スパイ行為に関わったなどとして、日本人15人の拘束が判明している。このうち、今回の2人を含めて少なくとも9人が起訴され、懲役3~15年の実刑判決が確定した。

 忘れてはならないのは、中国は三権分立を否定し、党の支配から独立した司法判断が存在しない特異な国家である点だ。今回の判決はそれを強く想起させる。

 加藤勝信官房長官は判決後、「早期帰国の実現、司法プロセスの透明性確保を働き掛けている」と述べた。中国が事務レベルの働き掛けだけで動く相手でないことは、これまでの経緯をみれば分かる。昨年秋に王毅外相が来日した際、茂木敏充外相は邦人拘束について、中国側が前向きな対応を取るよう改めて強く要請したというが、どんな言質をとったのか。

 政府は自国民保護のため、あらゆる手立てを講じるべきだ。

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