記事詳細

【主張】菅外交スタート 「中国への遠慮」は禁物だ

更新
産経新聞

 菅義偉首相が外交デビューを果たした。就任から10日間でトランプ米大統領や習近平中国国家主席らおよそ10人の海外要人と電話会談した。26日には国連総会でビデオ収録での演説を行った。

<< 下に続く >>

 まだ「菅カラー」は見えないものの、一連の首脳外交で、日米同盟強化やインド太平洋構想を推進すると表明した点は妥当だ。一方で、中国にはっきりと物を言わなかったのは残念である。

 電話会談は就任挨拶(あいさつ)をする儀礼的な意味合いが濃いが、トランプ大統領や英独両国、インド、オーストラリアの各首相との間で、インド太平洋構想推進の協力を確認できた。

 国連演説では、新型コロナウイルス禍克服への貢献や北朝鮮による日本人拉致問題解決を訴えるとともに、「自由で開かれたインド太平洋」実現に意欲を示した。

 同構想には、南シナ海などで「力による現状変更」を図る中国を牽制(けんせい)する戦略的狙いがある。

 ところが習主席との電話会談では歯切れが悪かった。「首脳間を含むハイレベルで2国間、地域、国際社会の諸課題について緊密に連携」することになったというが、そうであるなら、中国の問題点をもっと指摘し、改めるよう求めたらよかった。

 習氏とは就任挨拶の約30分間の会談だったとはいえ、どのような初印象を与えるかは重要だ。笑顔で握手することを外交の目的としているとみなされれば侮られ、今後の建設的な話し合いは難しくなる。平和をもたらす国際秩序の確立と国益追求を主な目的としなければならない。

 菅首相は会談で「東シナ海情勢」に懸念を示し、「地域、国際社会の関心が高い課題」を議論しようと伝えた。だが、中国のようなしたたかな国の首脳を相手に遠回しな言い方をしても通用しない。「尖閣諸島」や「南シナ海」「香港」「ウイグル」の問題に明確に言及してもらいたかった。

 習主席の国賓来日は話題にのぼらなかったというが、人権弾圧や覇権主義的行動を改めないなら白紙に戻すと伝えるべきだった。

 共産党独裁の中国相手の外交は最高指導者に直接要求するのが効果的だ。日本の首相は、その発言に習主席が一応は耳を傾ける存在である。菅首相は今後の対中外交では日本と世界のため一層真剣に臨んでほしい。

ピックアップ

    注目ニュース

      アクセスランキング

      iza! ソーシャルメディア公式アカウント

      • twitter
      • facebook
      • iza!を読む
      ×