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【主張】ボクシング存続 伝統競技に対する警鐘だ

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 国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年東京五輪からの除外を検討していたボクシングについて、存続させる方針を決めた。

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 統括団体の国際ボクシング協会(AIBA)は6月のIOC総会で資格停止となる見通しだ。前代未聞の混乱だが、選手の活躍の場を守った措置は支持したい。

 AIBAをめぐっては16年リオデジャネイロ五輪で八百長疑惑が持ち上がり、財政破綻の恐れなどガバナンス(組織統治)の問題も指摘されている。

 国ぐるみのドーピングを行っていたロシアに対し、IOCは昨年の平昌五輪への選手団派遣を認めなかった。「公平、公正」はスポーツの生命線である。AIBAを五輪から締め出す判断は、妥当だろう。

 予選などの開催準備や大会運営は、IOCが設置した特別作業部会が担う。座長には、IOC委員で国際体操連盟会長の渡辺守成氏が就いた。

 現状では、予選の方法や実施階級さえ決まっていない。チケットの抽選申し込みも凍結されたままである。混乱の長期化で選手やファンの不信を招いてはならない。特別作業部会は一日も早く、開催準備を軌道に乗せてほしい。

 6年前にレスリングが一時除外されたのも、発端は統括団体のガバナンスの欠如だった。ボクシングと同じく古代オリンピックに源流を持つ競技だが、伝統は免罪符にならなかった。

 IOCの軸足は、東京五輪で初めて実施されるスケートボードやスポーツクライミングなど、若者に人気の都市型スポーツへと移りつつある。大会組織委員会の森喜朗会長も都市型スポーツについて「新たな象徴となるように(東京五輪で)芽を育てたい」と多大な期待をかけている。

 今の実施競技が将来の指定席を約束されているわけではない。見せ方を含めた競技の魅力向上やガバナンスの努力を怠れば、レスリングやボクシングと同じ道をたどることを忘れてはならない。

 五輪市場は世界中の視聴者によって支えられている。男女平等や組織運営の透明化など、スポーツ界が世の中の枠組みと無縁ということはあり得ない。不祥事が相次いだ日本の各競技団体も、ボクシングの騒動を教訓にしなければ、未来の保証はない。

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