「学校のトイレ研究会」は、子どもたちや地域の人たちが安心して使える、清潔で快適な学校トイレづくりの実現を目指して、トイレに関連する企業6社で活動に取り組む団体です。

研究会は、学校トイレの清潔さや快適性を保ち続けるために必要不可欠な「清掃」についてお伝えする動画を10月20日に公開しました。

※動画はこちらからご覧いただけます。

正しく清掃しないとトイレ改修費用が高くなる?

皆さんも小中学生のころ、学校のトイレ清掃をされていたと思います。

床のほこりをほうきで掃いて、汚れた便器の中をブラシで洗って、最後は床全体に水をザバーっと流す…そんな感じだったでしょうか。

ところで、その清掃方法って誰かに教えてもらったものでしたか?

清掃方法がポスターで貼ってあったり、先生が教えてくれた、という方もいるかもしれません。でも、なんとなく自己流でしていた人も多いのではないでしょうか。

実は「学校のトイレをどうやって清掃するのが正しいのか分からない」ことが、子ども達にきれいで快適なトイレを使ってもらえないだけでなく、トイレの改修時期の前倒しや改修費の増額という問題にもつながってしまうのです。

学校のトイレ研究会では、学校トイレを長く清潔に保つために正しい清掃方法の普及が欠かせないと考え、研究会内に「清掃分科会」を立ち上げ、活動しています。

学校トイレの清掃はどうあるべきか?

実態や時代の変化と真摯に向き合ってきた、分科会メンバーの想いを聞きました。

聞き手:学校のトイレ研究会 事務局 主席研究員 河村 浩

「清掃分科会」メンバー、左から

 ミッケル化学株式会社 事業開発部 李 若瑄(リー ルオシユエン)

 ミッケル化学株式会社 事業開発部 中西 真人(なかにし まさと)

 株式会社木村徳太郎商店 代表取締役 木村 基治(きむら もとはる)

 ロンシール工業株式会社 建装事業部 會田 理曉(あいだ よしあき)

――研究会の中で「清掃分科会」を作るきっかけは、なんだったのでしょうか?

木村: 学校のトイレでは、先生方も正しい清掃方法が分からずに自己流で清掃が行われていました。また、改修した新しいトイレにふさわしい管理方法が分からない、といった声もあり、実際に研究会でアンケート調査や現場取材をすると、清掃に関する意見や要望が多く聞かれました。そんな状況を何とかしたい、もう一歩踏み込んだ形で清掃についてさらに探求して訴求したい、という想いで15年前に清掃分科会を作りました。

「清掃はトイレに欠かせないもの。きれいで快適なトイレは、改修・新築した時がスタートであり、清掃で維持することが欠かせない」という基本スタンスで活動をしています。

中西: 分科会を始めるにあたって私が最も共感したのは、清掃は子どもの情操教育に必要であるという考えです。

子ども達が自分で清掃することによって物を大切にできる、これが子どもの教育に必要であるということを、大前提として活動する必要があると考えていました。

また、トイレ改修には多額の費用が必要なのに、清掃方法が適切でないと、1~2年ですぐに汚くなってしまうのは問題だと感じていました。

――現在の学校トイレの清掃の課題についてはどうお考えですか?

木村: 学校の予算が限られている中で、清掃はとても中途半端なポジションになりがちです。生徒で実施するにしても清掃に使える時間は限られていますし、全ての事はできません。業者に依頼する際も、金額だけでなく清掃の質まで含めて検討しなければ、せっかくお金をかけても子ども達に気持ちよくトイレを使ってもらえないという結果につながってしまいます。

直近の課題でいうと、やはり、どう新型コロナウイルス感染症に対処するかという事もあると思います。

中西: やはり清掃方法の「スタンダード」が無いことは課題です。スタンダードかないから、それぞれの学校が独自に、自己流で清掃をすることになります。

感染症の予防のための清掃方法など、情報を蓄積してマニュアルを作っておくのが良いと考えます。

木村: 清掃分科会で提案しているのは、「日常清掃」「定期清掃」「プロ特別清掃」の3段階に分けた清掃です。汚れがたまらないよう普段からちょっとずつ清掃する「日常清掃」は子ども達が取り組み、1学期に2~3回位、行き届かない部分については先生や用務主事さんによる「定期清掃」を実施。タイルへの尿の入り込みや尿石の蓄積などについては、年に1~2回、専門業者による「プロ特別清掃」を入れる、というものです。

トイレを長く快適に保つことが、改修の前倒し防止や改修費用の増加防止にもつながります。

李: 台湾ではこの数年、政府が出す補助金でトイレの改修が進んでいますが、新しくなったトイレで正しい清掃の仕方がわからず、汚いままになっている所も多いようです。

不適切な方法でトイレ清掃をすることで、汚いまま使用し続けることになるのは一番の課題だと感じています。

會田: 清掃道具についても、昔から使っているものと、今世間にある新しい道具にはギャップがあるように思います。実は今ではいいものが安く手に入るのに、習慣で道具をなかなか変えられない。

清掃方法、清掃道具、建材・設備の三つの要素を一緒に、一体的にレベルアップさせていくことが空間の美化にも繋がると考えます。

水で流すトイレ掃除の方が汚い?臭い?学校トイレに求められる「乾式化」

学校トイレについて近年で大きく変わってきた事の一つが「清掃方法」です。

そもそも学校トイレ清掃の方法には、大きく分けて「湿式清掃」と「乾式清掃」があります。水を流してブラシでこすり洗いし最後に全体に水を撒くのが「湿式清掃」、土足で入る駅や公園のトイレなど、床がコンクリートやタイル貼りになっているトイレではこの方式が多くとられます。「乾式清掃」は家庭用トイレの清掃方式に近く、薄めた洗剤をしみ込ませたモップやぞうきんで汚れを拭き取り、日常は床に水は流さない方式です。

水で流したらきれいになるように感じる湿式清掃ですが、水をきちんと乾燥させなければ溜まった水に細菌が繁殖して不衛生になります。

実は湿式清掃の床では乾式清掃の床の約460倍の細菌が検出されています。また、湿式清掃の床のタイル目地に染みついたアンモニア付着量は乾式清掃床の170倍と、トイレの悪臭の原因になっていると考えられます。

また、学校のトイレ研究会が2018年度に実施したアンケート調査で、公立小中学校における屋内トイレの床が湿式床か乾式床かを聞いたところ、新築・改修から11年以上が経っている学校では乾式床と回答した割合が20%程度であったのに対し、新築・改修から10年以内の学校では84%が主に乾式床であることが分かりました。

衛生面やにおいの観点から、新築や改修をきっかけにトイレを乾式化する学校が増えているのです。

――徐々に学校トイレでも増えてきた乾式化ですが、2007年にはトイレ専用の超防汚性ビニル床シートといった商品も開発されました。

會田: 弊社の超防汚性ビニル床シートは、厚く均一な抗ウイルス性防汚コーティング層で表面をコーティングしている乾式清掃に対応した商品です。

10年ほど前、ほとんどの学校のトイレは湿式床でした。タイルの目地にしみ込んだ尿による臭いや汚れといった問題は、床を乾式化すれば解決でき、長尺シートがいち早く採用されていた学校ならば、この商品でお役に立てると考えました。

まだまだ湿式床の学校も多いため、乾式化は研究会として今後も取り組んでいきたい課題です。

――今回公開した動画では、「湿式清掃」と「乾式清掃」それぞれスタンダードな清掃方法を紹介していますが、何故動画で公開しようと思われたのでしょうか?

中西: セミナーで資料の説明をしても「具体的にどう掃除したらいいのか分からない」という声があり、清掃の仕方を伝えるには動画を作るしかないという思いがありました。

木村: 研究会のセミナーで見せるために作り始めた動画ですが、実際に学校の先生達にお話を聞くと、動画をそのまま子ども達に見せて教材として使いたいという声が聞かれました。

今では子ども達が1人1台タブレットを持つ時代。昔のようにスクリーンに映すのではなく、タブレットで情報を共有できるので、動画での公開は今の時代にもマッチングしたのかもしれません。時代にあわせて、伝える方法も変えていかなくてはいけないと思いました。

――他にも変化を感じられたことはありましたか?

中西: 新型コロナウイルス感染症拡大以降、中性洗剤で掃除するとウイルスが不活化するというデータもあり、学校のトイレで洗剤を使って清掃する事の重要性が認識されたように思います。

アルコールによる消毒も同様で、清掃に加えてアルコールによる拭き取りを実施される学校が増えたり、全ての教室に手指消毒用アルコールが置かれるようになった学校もあります。

――最後に、今後の清掃分科会がめざすところや意気込みなどをお聞かせください。

木村: 今回の動画制作を通じて時代の変化を感じました。もう少ししたらVRなどで清掃が体験できるコンテンツを用意しなければいけないかもしれません。

学校のトイレ研究会のように異業種が集まっている団体はそう多くありません。色々な会社が参画している事をプラスにつなげ、結果的に学校でトイレを使う子ども達を笑顔にするため、少しでも力になれたらと思っています。

中西: 設備も、清掃用具も、洗剤も、壁床の仕上げ材もどんどん良くなっています。

学校トイレのメンテナンスと同じで、研究会から提供している情報も更新しながら、活動を継続していかなければならないと思います。

李: 新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、色々な学校に清掃のレクチャーをしに行きたいです。そしてゆくゆくは、学校のトイレ研究会として台湾でも講演会を開催できればと思っています。

會田: 研究会で色々な情報を共有し、時代の変化に対応しながら情報発信をすることで、より良い学校のトイレづくりに向けた取り組みを続けたいです。

今回は「清掃分科会」という同じ目的のもとに活動をする4人にお話を聞きました。

動画では伝えきれなかった、「学校のトイレにとって清掃がいかに大切なのかを伝えたい」「正しい清掃方法を広く知ってもらいたい」…そんな熱い想いを感じていただけたでしょうか?

時代が変わっても、学校が子ども達にとって長い時間を過ごす重要な場所である事には変わりません。「学校のトイレを良くしたい」と思うその気持ちには、企業も、国境も、時代も関係無いのだということを強く感じます。

清潔で快適な学校トイレの普及が、子ども達の笑顔につながると信じて、私たちは活動を続けます。

<「清掃分科会」メンバー所属企業>

株式会社木村徳太郎商店

約30年前に、尿石除去剤の販売からスタートし、「臭気対策」「汚れ除去」等の現場での清掃作業などトイレメンテナンス全般にわたる、事業を展開。トイレメンテナンス実施研修などを通じ、社会貢献活動も行う。学校のトイレ研究会の立ち上げ当初、学校現場からのメンテナンスについての問い合わせが多かったことを受け、清掃やメンテナンスについて一緒に研究をするため研究会に参画。

http://www.toku-kimura.co.jp/

ロンシール工業株式会社

プラスチック製品や床仕上げ材等の製造・販売をおこない、トイレから教室や廊下まで、学校の床をトータルで提案。シックスクール対策製品も数多く取り揃える。学校の床材に自社商品が多く採用されていることから、学校トイレの課題解決に強い意欲を持ち研究会に参画。

https://www.lonseal.co.jp/

ミッケル化学株式会社

業務用の洗浄剤・消毒剤の製造販売をおこなう。殺菌・消毒用手洗い石けん液、消毒用アルコール(医薬部外品)、トイレ用洗浄剤の提供・啓発活動を通じて、学校のトイレの衛生レベル向上に貢献したいとの思いにより研究会に参画。

https://miccheal.co.jp/

<学校のトイレ研究会>

子どもたちや地域の人たちが安心して使える、清潔で快適な学校トイレづくりの実現を目指して、1996年11月に発足。トイレ関連企業6社(アイカ工業株式会社、株式会社オカムラ、株式会社木村徳太郎商店、TOTO株式会社、ミッケル化学株式会社、ロンシール工業株式会社)により活動を行っている。

https://www.school-toilet.jp/index.html

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