システムズアプローチの組織開発・人材育成・ツール提供等を手がける株式会社レヴィ(本社:東京都文京区)は、同社が展開する無料オンラインセミナーシリーズ「システムデザインの学校」の一環として、宇宙建築ベンチャーであるSpace Quartersの創業者をゲストに招いた対談イベントを実施しました。今回の記事では、対談の内容をダイジェストでご紹介します。

日本最大級のビジネスコンテストTSG2021で最優秀賞を受賞した宇宙建築ベンチャーSpace Quartersの創業者 大西 正悟 氏 をゲストにお招きし、宇宙ステーション実験棟の設計者を含むレヴィの宇宙関連専門家らと、宇宙インフラの技術、システムデザイン、将来像などについてお話いただきました。悩める宇宙ベンチャー企業家が新規事業について紹介し、システム工学の権威たちにアドバイスを頂く内容です。

ゲスト:大西さん(Space Quarters)、モハラさん(Space Quarters)、竹内さん(レヴイ顧問)、小木曽先生(レヴイ顧問)

司会:三浦(レヴィ)、ナラ(レヴィ)

宇宙建築ベンチャーSpace Quartersのチャレンジ。宇宙旅行で快適な生活空間をつくれるか!?

三浦:今日は宇宙建築ベンチャーSpace Quartersの創業者のお二人にお越しいただいています。早速ですが、お二人の自己紹介からお願いいたします。

Space Quartersの創業者 大西 正悟 氏

大西さん(以下大西):Space Quarters CEOの大西です。夢のあるモノを創るのが信条で、大学の時に友達とロケットを打ち上げたり、宇宙に関わることがしたくて東北大学に入り直したくらい宇宙が好きです。異業種のプロダクト開発を経て、宇宙ベンチャーを創業しました。

モハラさん(以下モハラ):Space Quarters CTOのモハラと申します。Space Quartersを創業する前は航空宇宙機用金属3Dプリンタの開発に携わっていました。宇宙のインフラやロケットの構造など、宇宙に興味をもちはじめたのは5年くらい前からです。

大西:二人とも宇宙が好きだけれども”宇宙そのものの専門家”ではなく、僕はこれまでずっとプロダクト開発を専門にしていて、CTOのモハラは生産技術の専門家です。宇宙分野については、宇宙構造体や宇宙ロボティクスの専門家の方などにアドバイザーとしてはいっていただいています。

三浦:今日はゲストで宇宙分野の専門家としてレヴィ顧問の竹内さんと小木曽先生をお招きしているので是非いろいろとアドバイスをいただけたらと思います。

三浦:Space Quartersは、日本最大級のビジネスコンテストTSG2021で最優秀賞を受賞、さらに東京都主催のアクセラレーションプログラムASACにも採択されて今年6月に起業したばかりとのことですが、具体的にどのようなビジネスを展開されていく予定でしょうか?

大西:Space Quartersは、「人類が宇宙を生活圏とし、可能性を広げ続ける夢溢れる世界」をビジョンとして描いています。その実現のために、「次世代の宇宙建築技術を提供すること」を目指して事業を立ち上げました。現在、ロケット打ち上げのコストが下がってきており、宇宙輸送分野の技術革新が進んでいます。2030年には民間人も含めて多くの人が宇宙へ行くようになることが期待されています。しかし、現在の宇宙ステーションでは必要とされるだけの生活空間をつくれないことが課題です。これに取り組んでいるのがSpace Quartersの事業です。

三浦:「次世代の宇宙建築技術」ということですが、宇宙空間でどうやって建物をつくっていくのでしょうか?

大西:宇宙でパネルをつなぎあわせて大きな空間をつくる方法を考えています。ロケットに載せられるもののサイズには限界があるので、組み立てたものを持っていくことは難しいです。アイディアとしてはバルーンや折り畳みの形も考えられますが、小型隕石などがあたる危険性などを考えると居住空間としては難しい構造です。ですから、パネルを組み合わせて宇宙で建築を行うのがベストだと考えています。パネルのつなぎ目は溶接で密閉空間をつくります。ビジネスの裾野は広く、次のようなビジネスを展開していく予定です。

<Space Quartersのビジネス領域>

  • 有人宇宙建築物の建設/修理/保守
  • 非有人建築物の建設/修理/保守
  • 地上デバイス(検査ロボット、溶接ロボット)

できたばかりのベンチャー企業なので、まずは技術の開発からはじめていくところです。まずは地上デバイスでテストをして、その後宇宙で実証するという流れで進めていく方針です。

三浦:Space Quartersのご説明ありがとうございました。ここでオンライン会場からの質問をご紹介します。「なぜそんなに宇宙が好きなんですか?」というご質問です。いかがでしょうか?

大西:宇宙を好きな理由は、「夢があるから」ですね。夢とかロマンを追うことが好きなんです。子どもの頃の漫画やアニメなどの影響で宇宙にロマンを感じたのがきっかけで、今につながっています。

モハラ:私にとって、宇宙は「新しい場所」なので魅力的ですね。新しい場所にいくことで、新しい開発が可能になる、新しい可能性をみなさんに提供したいという思いがあります。

三浦:「未知のものを切り開く」というところがお二人に共通しているなと思いました。

大西:そうですね。未来が拓ける、可能性があることがひとの幸せにとって重要だと思っています。

最初にシステムの「要求定義」をきちんと考えてつくることが非常に重要

三浦:ここからは、宇宙分野の専門家としてレヴィ システムデザイン研究所 顧問の竹内さん小木曽先生にはいっていただき、アドバイスをいただきたいと思います。

大西:アドバイスいただくにあたって、今後事業を進めていくうえで「どこが一番、難しいチャレンジになりそうなのか」について教えていただきたいです。そこを見落とすと、事業は継続できず死に至るだろうという危機感をもっています。

竹内さん(以下 竹内):新しい事業をはじめるにあたって、「作ったは良いけれど、全然だめだった」という失敗をしたときに、再チャレンジしづらいのが宇宙開発の難しいところです。最初に「システムの要求」をきちんと考えてつくることが非常に重要で、大変なところだと思います。

例えば宇宙ステーション実験棟「きぼう」の外部インターフェースをみてみると、とてもたくさんのことを最初の段階で考える必要があることがわかります。たとえばスペースシャトルでものを運ぶところ、宇宙ステーション本体との結合、空気や電力の供給、通信や排熱。それ以外にも、宇宙飛行士の安全、NASAの地上局との連携など・・。将来にわたって、組み立てるところからはじまって、これらが壊れて修理や取り換えが必要になり、最終的に廃棄するところまでを、最初にシステムの「要求」としてどこまで詳細に描き切れるかが勝負です。

「きぼう」の外部インターフェース

今回のSpace Quartersの事業は建築物をつくるプロジェクトですが、入れ物だけではなくて、建築したものの中に何を組み入れるのかまで含めて、どこまで詳しく要求を書ききれるかが重要になってきます。つまり、周辺のインターフェースをいかに最初から考えてデザインしておくかが大事ということです。

これは宇宙分野に限ったことではなく、すべてのものづくりの分野で、最初にシステムの「要求定義」をきちんと考えてつくることが非常に重要です。

大西:ありがとうございます。そこは重要だと理解している一方で、自分たちは「宇宙空間で外壁をつくれます」という生産技術の提供が主な事業範囲なので、内装まで自社だけで考えるのは難しく、他の大手の企業との協働が必要になってきそうです。

三浦:その場合のSpace Quartersの顧客は誰になりますか?

大西:宇宙旅行であればホテル事業者、宇宙ステーション運用会社、宇宙マンションを所有している国などになる想定です。大手企業に納品するイメージです。

Space Quartersの事業をモデルで表現

竹内:そうなると、標準的なインターフェースの仕様については、さまざまな事業者、関係者みんなで考えて決めていくことが必要になりそうですね。

モハラ:そうですね。Space Quarters独自でディテールを決めるというよりも、基準範囲を決めて「ここまではできます」という仕様を決めていくことを考えています。

小木曽先生(以下 小木曽):宇宙での建築物の大型化の可能性については大変おもしろいと思います。その上で、Space Quartersとしての優位性を明確にしていくことが大事だと思います。

大西:現状はビジョンとアイディア、自身の技術的なバックグラウンドとアドバイザーの方々のサポートがある状態です。現在技術開発中で、構想段階ですので、特許の取得は必要だと考えています。宇宙で溶接する難しさ、例えば、温度が低いことや、きっちり合わせることの難しさなど。それらの課題に対するアイディアがあるが、実現が難しく、コア技術になると思います。アイディアを特許化して、検証していくのが今後のステップになります。

小木曽:宇宙での、どういう生存空間が求められているのでしょうか?

大西:広い空間であることは重要だと考えています。居心地の良さもですが、アクティビティがでできるくらいの空間が必要です。「宇宙が好き、憧れがある」という一部の層だけに満足してもらうだけではビジネスとして成り立たないので。リゾート開発のようなイメージで、インスタ映えとか、楽しみとして宇宙へいく。宇宙がそこまで好きじゃない人でも行きたいと思える空間をつくれるかどうか。そのために必要な”広い空間”をどうつくれるかが大事だと考えています。

ナラ:私は宇宙開発については詳しくないのですが、モデル図でまとめて説明していただいて大枠を理解することができました!Space Quartersの事業は関わる関係者が多くなりそうなので、コミュニケーションの齟齬をなくして共通認識をもちやすくするために、システム工学の手法は有用なのではないかなと感じました。

三浦:システム工学的なアプローチでの課題解決や見える化については、ぜひレヴィもサポートできれば嬉しいです。

大西:そうですね、今回、事業の内容をモデル図で書いてみて整理しやすかったので、システム工学的なアプローチもトライしてみたいです。

小木曽:宇宙環境で大きな構造物をつくるのは夢がありますね。応援してます!

大西:今回、対談させていただいて、新しい気づきや発想がもらえたことが大変よかったです。ベンチャー企業で、だれもやったことのない未知への領域へのチャレンジですので「新しい気づき」が生命線だと思っています。難しいチャレンジですが、私たちの夢であり、人類の夢でもあるとも思っていますので、みなさんのご協力を頂きながら、人を巻き込みながらやっていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします!

「絶対に失敗できない複雑なチャレンジ」に、どう挑むか?

三浦:今日はお話ありがとうございました。竹内さんのように、本当の宇宙インフラを実際につくる過程に携わったことがあるかたは本当に少ないので、貴重なお話を伺えたと思います。

大西:プロジェクトを進めるにあたって、経験者に入っていただくことはとても大事だと考えています。失敗を繰り返さないために。経験をもったメンバーを引き込めないと、私たちのような新規事業にチャレンジしているベンチャー企業は、見えていないところからのパンチで死ぬ、と思っています。

竹内:最初の要求定義をしっかりやらないと、そのあと設計時に新たな要求を追加していくことは難しいですからね。

小木曽:経験者の声というのは大事だけれども、経験者が「これをやらなきゃいけない」と言っても、聞いてもらえないことの方が多いですよね。「なんでそんなことやらなきゃいけないんだ」と反発を受けることもあります。みんな自分の経験からは外に出ないから。

三浦:宇宙開発は複雑かつ失敗できない事業なので、経験のあるひとの知見が重要ということですね。

大西:ケースによってはアジャイルで開発ができるものもありますが、ベンチャー企業を経営していると、ひとつの失敗で取り返しがつかなくなることは多いと感じます。ものづくりもそうだし、会社の運営も。会社組織のシステムアーキテクチャも大事。それら全てにおいて、システム工学の手法を活用できると思っていますので、今後もアドバイスをいただければありがたいです。

三浦:今回は、Space Quartersの皆さんと、レヴィの顧問のお二人をお引き合わせしたいという思いで企画したイベントだったので、このような場がもててよかったです。事業を進めていく中で課題も多いと思いますが、「複雑さ」に挑むときはぜひレヴィを頼っていただければ嬉しいです。

▼株式会社レヴィについて

株式会社レヴィは、宇宙開発などの分野で発展してきた「複雑なシステムの実現方法」を誰でも実行可能なシステムデザインフレームワークとして再構築し、設計支援ツールや研修プログラムなどの形で提供しています。ビジネス・組織・業務・プロジェクトなど様々な場面における課題を、システムモデルとして可視化・構造化することで整理します。

これまでに、システムインテグレーター/ソフトウェアベンダー/大手電子機器メーカー/大手ゼネコン/シンクタンク/国公立大学など、幅広いお客様へのサービス導入実績があります。導入事例はこちら

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