「資生堂」の社名は、中国の古典「易経」の「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」という一節に由来しています。創業時からその先の未来へ、サステナブルな価値創造の使命が資生堂の名には刻まれており、近年特に深刻化している環境課題に対しても様々な取り組みを行っています。

私たちの生活や事業に欠かすことができない存在、かつスキンケア製品をつくる上で大切な原料のひとつである「水」。

栃木県大田原市の水が豊富にあるという地域特性を活かして2019年に竣工した那須工場では、「美しい水を大切に使用し、さらには循環させる」という独自の視点で、高品質なものづくりと環境への取り組みの両立を実践しています。

その内容について、那須工場工場長の西田美晴、那須工場環境事務局の上村友美に話を聞きました。

水を大切にし、より環境と人にやさしいものづくりを

―那須工場ではどんな製品を中心に生産しているのですか。

西田 資生堂は現在国内に6つの生産拠点があり、那須工場は2019年に4番目の国内工場として竣工しました。

那須工場の生産ラインでは、エリクシールなどの国内外向け中高価格帯スキンケアを中心に生産しています。

那須工場は当社の強みである「高品質」を実現する設計・設備を取り入れ、その高い品質を支える「人」が働きやすく、成長できる職場環境も整っています。だからこそ、高品質な製品を持続的かつ安定的に生産できるといった面もあります。

―那須工場で生産されるスキンケア製品に使用している水の特長について教えてください。

西田 那須工場がある栃木県大田原市は、那須連山を望む緑豊かな土地です。

山・川・里といったいわゆる日本の原風景が残っており、工場の近隣には那珂川(なかがわ)、箒川(ほうきがわ)、蛇尾川(さびがわ)、熊川(くまがわ)という4つの河川が流れ、きれいな水が豊富にあります。

その水の美しさは、国の指定天然記念物である「ミヤコタナゴ」や、市の指定天然記念物である「イトヨ」といった、清流でないと生存できない魚が育つことからも明らかです。水田が広がる肥沃な大地にも恵まれているため、稲作や日本酒造りも盛んに行われている地域です。

―地域の資源である「水」をどのように管理・活用していますか。

西田 那須工場で使っている水は、ほとんど地下から汲み上げた良質な井戸水です。水と一言でいっても、飲用水、化粧品、医薬部外品に使う水ですべて異なった基準があり、まずはそのレベルに達するように水を精製していきます。

上村 この地域の地下から汲み上げた井戸水の水質はとても良く、そのまま飲めるほどの純度ですが、安心して使える高品質なスキンケア製品に活用するために、それをさらに精製し、ろ過、電気処理、殺菌……といった約10工程のプロセスを踏んで、さらに純度を高めています。

その上ではじめて、化粧品の原料として使うことが許容されます。

―10工程とは。とても厳しい基準が設けられているのですね。

西田 化粧品に使用する水は独自の基準があり、ミネラルなどの諸成分をコントロールしたものでないと、テクスチャーや香りに影響を与えてしまいます。

品質や使い心地すべてにおいて妥協しない化粧品を生産するために、私たち那須工場ではより厳しい基準を設け、水を精製しています。

―排水に関してもかなり厳しい自社基準を設けられているとか。

上村 那須工場の排水処理施設は、見ていただくとわかるようにとても立派なものです。ここ栃木県は農業が盛んなため、県の条例で厳しい排水基準が定められているのですが、那須工場ではそれをさらに上回る厳しい自社基準を設け、工場で使用した後の水の処理を行っています。

4段階の工程を経て水質を測定機器と中央監視システムでしっかりと確認した上で、放流します。当然、放流する水は周辺の環境に影響を与えるため、よりきれいな水質のものでなければなりません。

私たち那須工場では、水を「消費する」ではなく、最終的に「循環させる」ことを目指しています。

―工場内では節水にも取り組んでいるそうですね。

上村 工場内での水の使用実績を見ると、那須工場全体で消費している水の半分は製品に配合する水です。そこで10工程のプロセスの中で、ろ過精製する装置の運転方法の見直しや、ろ過の水を無駄なく使える循環にも取り組み、約45%の水使用量の削減を実現しました。

―半分ほどに削減とは、大きいですね。

上村 はい。那須工場では、率先して水を大切にする活動を行っていきながらも、一人ひとりの意識が環境へ配慮した活動に向かうように促しています。工場の環境事務局の一員として、全体をリードできるように自分の知識を深めるべく、環境管理士の資格を取得しました。

事務局として環境情報を発信する機会が多くなってからは、工場内のメンバーから質問や相談を受けることも少しずつ増えてきており、工場内の環境意識の高まりを感じています。

地域とともに、大田原の水を大切にする取り組み

―那須工場は地域とも共存共生していますね。

西田 そうですね。水は地球規模で循環する資源です。世界を見ると、日本のように水が潤沢にある地域ばかりではありません。

日本はありがたいことに世界の平均の2倍に相当する雨が降るため、水が豊富にあります。さらに国内においても、ここ大田原市は、水が豊富な地域です。地域の貴重な資源を使わせていただいているという意識を忘れずに水を大切に扱うことが、地域に対しての責任だと思っています。節水はもちろんしなくてはならないことの一つですが、循環させていくことが重要です。

そして資生堂の那須工場で生産し、世の中に提供する製品が、自然豊かな大田原の地から生まれたものであることや、その水の質のよさについて積極的に発信していくことも私たちの使命だと思っています。

―新しい工場を建てる際、地域からの反発はなかったのですか?

西田 ありがたいことに、工場建設にあたり、大田原市は非常に歓迎ムードでした。私たちが考える水への取り組みを説明した上で、それを理解してくださったからこそではと思います。

そういったこともあり、なおさら地域の方々に恩返しをするという意味でも、皆さまの期待を裏切らないよう活動をしていきます。

地域との信頼関係をより深め、連携して一緒にできることが増えていく未来を目指していけたら、そう思います。

那須工場が水を守る活動を発信していく

―ほかの環境視点での取り組みはいかがですか?

上村 那須工場では稼働が始まった2019年12月当初より、栃木県のサポートのもと「とちぎふるさと電気」を採用しており、水力発電由来の再生可能エネルギーの活用により電力の100%再生可能エネルギー化を実現しています。

さらに今年、環境マネジメント国際規格ISO14001を取得しました。

水を大切に使用することはもちろん、それ以外の部分でも環境に配慮した取り組みを続けていきます。

西田 環境問題について工場内の全メンバーが高い意識を持ち、環境負荷の軽減と生産活動を両立できるように心がけています。

―今後、那須工場でどんなチャレンジをしたいですか。

西田 一つひとつの取り組みを大切にし、地域と連携をとり、活動を進化させていきたい。具体的なところだと、那須工場の見学コースを充実させるのも目下のミッション。

大田原の美しい水で作るスキンビューティー体験の価値について、より積極的に発信していきたいです。

上村 今回は特に水に注力したお話をさせていただきましたが、あらゆることにおいてサステナブルな視点を追求していきつつ、生産活動と両立させて環境にやさしい工場となることが目指す姿です。

大田原の水を使い生産活動を行う立場としては、節水だけでなはなく「水を循環させる」活動に今後より力を入れていきます。また、「情報発信の拠点」という役割においても、広報活動の強化に取り組みたいです。

例えば、地域の小学生を対象にした工場見学で水にまつわるワークショップを開催するなど、環境活動を通じて資生堂の取り組みを地域へ、社会へ、そしてひとへ伝えて、広げていきたい。

大切な資源である水のように、私たちの活動が、社会やひとへ貢献できることを目指せたらと思います。

<関連リンク>

那須工場見学サイト

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