国内家庭用包丁シェアNo.1ブランド※ 『関孫六』からこの秋、新たに発表された『関孫六 要』。その誕生にまつわるストーリーを、製品が完成するまでの期間と、完成後の様子を4つのフェーズに分け、各々について、このプロジェクトに深く関わってきた、商品企画部、デザイン部、開発部の各担当が時系列で語ります。

貝印の“ものづくり”に携わる各々の存在と役割、製品ができるまでには、どんなストーリーや苦労、想いがあったのでしょうか?

※自社調べ

調査期間:2021年1月-2021年12月まで 国内家庭用包丁売上金額において

「関孫六 要」リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000394.000025105.html

語っていただくのは、『要』の“要”とも言える、この三方。

第一章 ――― 出発点~新しい糸口

企画・構想を考える(2020年6月〜 2020年12月)

―――今回三方は『関孫六 要』の誕生に深く関わっていますが、そもそも、『関孫六』という既存ブランドの刷新には、どのような意図や目的があったのでしょうか?また、それはなぜ必要だったのでしょうか?

丸山

私はもともと営業部門にいたのですが、2020年の4月から商品企画部に配属されました。いつか『関孫六』というブランドの中身や情報を整理して、“製品ポートフォリオ”を見直したいと思っており、具体的には、収益性や成長率、将来性などを考えて、製品構成の見直しを行ったり、製品ラインナップを整理したり(廃番商品の検討)、中長期的な製品開発や商品戦略を行いたいと考えました。

入社以来家庭用品の営業を担当していましたが、2006年ごろの『関孫六』の主要な価格帯は、2,000円くらいから4,000円くらいの価格帯だったんです。その後、ホームセンターを中心に5,000円ラインや10,000円ラインの販売が拡大していき、少しずつ価格帯は上がっていきました。

―――なるほど。主力価格帯を上げながら、ブランドイメージのボトムアップを図ったわけですね。

丸山

低価格帯から徐々に上がってきているのですが、もともとの『関孫六』のブランドイメージもあってか、競合の多い高価格帯では動きの少ない商品もありました。

―――この状況をどのように打破しようと考えられたのでしょうか?

丸山

“フラッグシップ”となる、高価格帯の構成を見直す必要を強く感じました。『関孫六』というブランドとして、他の競合と勝負するには、高価格帯のシェアを上げなくてはいけない、と。そうすることで、市場におけるブランドとしての認知を高め、ファンを増やすことにつながり、結果として、ブランドの価値を高めることになると思ったからです。そうすることが、ブランド全体、すべての価格帯の商品への相乗効果があると思ったんです。

―――なるほど。単に価格帯を上げていくのではなく、高価格帯商品である、ブランドを牽引するフラッグシップ商品の強化に注力し、ブランドとしてのステータスを上げるということですね。そのために、『関孫六 要』が誕生した、というわけですね。

丸山

その通りです。

―――ところで、貝印には先日累計出荷本数1000万丁を突破した、高級包丁の主力ブランドである『旬』があります。『関孫六 要』とは、どのように住み分けされているのでしょうか?ポジションやブランドとしての位置づけなど、お教えいただけますでしょうか?

※上から「関孫六 ダマスカス 三徳包丁 165mm」「旬ShunClassic 三徳ナイフ」

丸山

『旬』は、日本製の商品ではあるものの、海外をメインターゲットにしてきました。刃の形状もそうですし、デザインも海外のデザイナー(Kai USA)によるものが多いです。

一方、『関孫六』は日本をメインターゲットに考えており、日本人と日本の文化にもとづいた、ものづくりをしているところが根本的に違いました。

―――なるほど。出発点が異なるわけですね。ところで、企画・構想のフェーズでは、主に中心となってご活躍されていたようですが、他のお二人との関わりは、どうだったのでしょうか?

大塚

“プロジェクト”としての初期段階で、『関孫六 要』の企画・構想についての内容は、ある程度共有されています。この段階では、具体的にデザイン検討をするというよりは頭の中で情報を整理しながらプロダクトコンセプトやストーリー原案のイメージを膨らませていました。

丸山

もちろん、デザイン部だけでなく、開発部ともやり取りはありました。企画・構想の6ヶ月のフェーズの中で、「こういうスペックでつくれないか?」といったことを相談したり、アイデアを聞いてもらったり…。

百瀬

『旬』について少しお話しさせていただくと…。『関孫六』で、『旬』と同じ価格帯を攻める意味は、まさに丸山がお話ししたことだと思います。『旬』はもともと、アメリカ北部の市場向けの包丁として企画されたと聞いています。それまで、ドイツの包丁が出回っていた市場に、攻め入ったわけです。ドイツの包丁は、厚くて丈夫なのですが、一般的には、"厚み"と"切れ味"はトレードオフの関係があります。旬は、日本刀からも繋がる発想ですが、薄い刃先にして切れ味の鋭い包丁を目指したと聞いています。

薄い刃で切ると、食材へのストレスも少なくて、きれいな断面にできます。例えば肉を切るときに、肉汁が出にくく、食材の本来の旨味を損なわないことなどをアピールポイントとしていました。製品サイズにもこだわりがあり、肉などは食材が大きいので、それらを切るための刃渡りになっていますし、アメリカ人の手のサイズに合わせて、ハンドルを大きくした栗型の設計になっています。また、アメリカ人のマインドとして、“重さ=高級感”ということもあって、柄の尻金はウエイトの役割も担っています。

―――そうなんですね。国民性や文化の違いを強く感じます。

百瀬

『旬』はメインターゲットである北米市場の環境に合わせて開発されました。先ほど申し上げた通り体格は日本人よりも大きいので、それに合わせたサイズ感になっています。また、キッチンのサイズ感も大きく、大き目の包丁でも快適に使用できます。その『旬』を日本で使用すると男性からしても大きくて少し重ために感じられることもあります。『関孫六』は日本の文化にフォーカスしているので、サイズや重さなどの一般的な仕様から『旬』とは別軸にある包丁なんです。

―――なるほど。よくわかりました。

丸山

さらに補足になりますが…。『関孫六』は、企画もデザインも日本生まれです。ターゲットは男性寄りなんですが、市場調査をすると、実数では男女比率はほぼ同じくらいです。※女性は、見た目やデザイン、価格などを検討材料にされますが、男性は、機能を重視する人も多いんですね。※現在、『関孫六』は、シリーズの高級ラインの価格帯が1万円〜1万5千円になっています。購買者もプレミアム層を想定しているのですが、この価格帯を、さらに上げて、『関孫六』ブランドの中で、“切れ味No.1”になるよう、目標を掲げて始まったのが、『関孫六 要』のプロジェクトなんです。

※自社調べ

調査期間:2020年7月17日〜25日 包丁実態把握調査において

―――なるほど。企画・構想の段階における、これまでの経緯がよくわかりました。これは、次回のテーマになるのですが、少しデザインについてお聞きしてもよろしいでしょうか?『関孫六 要』は、どのような目線で、デザインされたのでしょうか?

大塚

企画・構想の段階で話を聞いて、『関孫六』を『旬』と同じ価格帯に投入することが決まってから、『旬』とは異なる、“『関孫六』らしさ”を出さなくてはいけない、その必要があると当初から強く感じていました。正直なところ、「ハードルが高いな」と思っていました。『旬』は、みなさんご存知の通り、刃体のダマスカス模様など、いろいろな表現方法を用い、技術の粋を集めた、ある意味“表現が伝わりやすい”包丁ブランドであり、海外、ヨーロッパなどでは“コレクターズアイテム”になっているほどです。そういった、派手な要素を抜きにして、競合するメーカーの包丁と渡り合い、日本の伝統的なスタイルを好むターゲットに響きつつ、『旬』と対照的なポジション、好対照なキャラクターを、どうデザインするか、本当に悩みました。かなり、難しい課題でした。

―――それはかなりの難題だった思います。そして、その難題にどのように向き合われたのか、とても気になりますが、詳しいお話は次回にたっぷりとお聞かせください!

次回へ続く

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