家電にインテリア、ペット用品にマスク、お米まで。「取り扱ってないものはない?」と思うくらい、多種多様な商品を発売するアイリスオーヤマでは、毎週月曜日に重要な会議が開催されている。1年間に1,000点以上の新商品を生み出すスピード戦略の裏では、企画・開発・製造・営業・役員までの関係者が一堂に会する、怒涛の「新商品開発会議」が繰り広げられていた。今回はそんな秘密の会議に潜入し、新商品が生み出される原点を取材した。(+1 DAY編集部)

新商品開発会議がおこなわれる「現場」に到着

アイリスオーヤマの新商品開発会議がおこなわれているのは、宮城県角田市にある角田I.T.P。工場も併設された広大な敷地の中のにある会議室で、毎週月曜日に開催されている。

角田I.T.Pに入ってすぐ、入り口で目についたのはDX清掃ロボット「Whiz i(ウィズアイ) アイリスエディション」だ。ソフトバンクロボティクスの「Whiz i」とアイリスオーヤマが共同開発した清掃ロボットで、予め掃除をしたい場所を設定すれば、自動で床掃除をしてくれる。周囲の環境に応じてルートを判断したり、複数のセンサーで走行ルート上の障害物や段差、人の動きを検知し、状況に応じて回避や一時停止する賢いロボットだ。現在では国内のみならず、海外でも販売されている。

また、入り口を入るとすぐにアイリスオーヤマの歴史や商品を見ることのできる展示スペースがある。年表とともに、アイリスオーヤマから発売されヒットした商品が並んでいる。

この年表に名前を刻む次のヒット商品が本日の会議から生み出されるのか、+1 DAY編集部も緊張しながら会議室に入った。

いよいよ緊張の新商品開発会議に潜入!

会議室前方には大きなスクリーンとモニターが何台も設置されており、それを囲むように各部門の担当者や社長、会長も会議に参加している。モニターで全国各地の拠点や海外拠点ともオンラインで繋いでいる。商品の立案者をはじめ、市場を調査するマーケティング担当、仕様を決める開発者、製造担当、そして最終的に決裁をする社長まで集まっている様子は圧巻だ。商品のコンセプトや価格、発売可否まで、全てがここで決まる。

朝9時から始まり、17時過ぎまでお昼休憩以外は、ほぼ休みなし。また一度の会議でのプレゼン数は50~60件にもおよぶため、スピード勝負だ。我々が潜入した間も独特の少しピリッとした緊張感が室内に流れていた。

また、驚いたのはプレゼン時間の短さ。一般的には一つの商品が初売される際、商品のコンセプトや詳細、データ等さまざまな情報を伝える必要があるため、プレゼンの時間や資料の量が膨大になりがちだ。しかし、アイリスオーヤマの新商品開発会議では、なんと1つの案件にかける時間は5~10分程度なのだ。

少しでも疑問があればすかさず大山社長や責任者たちがスパッと切り込み、それに対する答えをプレゼンターや参加者が即答し、大山社長の一言を待つ。なんとも緊張感溢れる現場に、会議初参加の編集部員がたじろいでしまう場面もあった。

取材日の会議でプレゼンしたのは、小型家電事業部の吉川事業部長。これまでに数回の新商品会議を経て、商品化が決定している「充電式サイクロンスティッククリーナー」のプレゼンだった。既に最終段階に入っている商品のため、”今までとは違う機能を、どうアピールしていくか”という調整が行われた。会議中に大山社長自身がプロトタイプをテストして検証も行う。

「ここの機能はどうなっているの?」と聞かれて即答したり、「使い心地がいいね」と言われ安堵の表情を見せる場面もあった。

続いて、ホームファッション事業部キッチンウェア事業部の影山副事業部長より新たなキッチン用品についてプレゼンがおこなわれた。「充電式サイクロンスティッククリーナー」とは違い、まだアイデアが生まれたての商品だ。ここでも、普段から自宅で料理をするという大山社長から厳しいツッコミが入った。しかし、これこそがまさに「ユーザーイン」発想なのではなかろうか。

「ユーザーイン」とは、アイリスオーヤマが独自に掲げている理念で、“市場のニーズ“を中心に考える「マーケットイン」をさらに突き詰め、消費者一人ひとりのニーズまでを見据えるということだ。会議の場では利益や新しい機能の面だけではなく、「使う人が実際にどう感じるか」「どんな生活環境の人をターゲットにしているか」という質問が多く飛び交っていた。社員のみならず、大山社長自らが消費者の目線に立ち、「消費者が本当に求めているものは何か」を徹底的に探ることで、かゆいところに手が届く商品がたくさん生まれているのだ。

新商品会議の裏側へ!社員に直撃インタビュー

ここでプレゼンをした社員や過去にヒット商品を生み出した社員、さらには、今後新商品会議で発表するであろう若手社員に、会議に向けての準備や、参加した感想について伺った。

まずは、「充電式サイクロンスティッククリーナー」をプレゼンした小型家電事業部の吉川事業部長。

―会議を終えた率直な感想を教えてください。

1週間分の仕事が終わった…と思うくらい、どっと疲れます。それでも、また翌週に向けて準備を始めるので、気が休まる時間はなかなか少ないですが、経営者の考えを直接聞くことができるので、”自身が成長できる場”と前向きに考えています。また、前日と当日は新商品会議のことしか考えられず、準備にかなりの時間を使っているので、失敗できない緊張感や責任感もあり、汗が止まらなかったです。

―吉川事業部長は、これまでにもさまざまな新商品を生み出しているんですよね?

はい。ハンディインスティッククリーナー「SCD-160P」やふとん乾燥機カラリエハイパワーツイン「FK-WH1」も、この新商品開発会議を経て発売されました。いかにユーザーの目線に立ってアイデアを出すことができるかが難しいと感じています。自分にとっては「不満が解決できる商品だ」と思っても、それが「他の人にとってはどうなのか?」と考えなければいけません。また、「市場で見るとチャンスのあるカテゴリーなのか?」など多角的に判断もしないといけないので、単純にアイデアを出すだけではないことに苦労しています。

続いては新たなキッチン用品をプレゼンした、ホームファッション事業部の影山副事業部長にも会議の感想を聞いてみた。

―新商品開発会議を迎えるにあたり、悩んだことはありましたか?

仕様と価格に悩みました。コンセプトは決まっているものの、実際にどのサイズが良いか、使う場面や作る料理を考えて何度もチームで議論をしました。あとは価格です。やりたい価格を設定するものの、なかなかコストが合わず苦労しました。色々と内容を組み直して、購入しやすい価格設定且つ使いやすいセットにできたと思います。

(立って打ち合わせをするためのスタンディング丸テーブルをオフィスに複数設置し、気軽に打ち合わせできる環境をつくりながらも、長時間の会議を避け効率的な仕事を進めている)

―本日の会議を終えた感想はいかがでしょうか。

まずはホッとしたのと、提案が通って嬉しい!のが本音です。しかし、商品の仕様について宿題を頂いているので再提案に向けて急いで準備をしなければ…といった感じです。提案をした後は、いつもアドバイスや宿題をいただくので、とても勉強になります!

続いて、家電開発部の佐藤久氏にインタビューした。

―新商品開発会議へかける想いや、商品化された時の気持ちを教えてください。

「自分で考え、企画した商品をお客様の元に届けたい」「お客さまの不満を解消して喜ばれる商品を作りたい」という想いが強く、新商品開発会議でプレゼンをしています。企画が通ったときももちろん嬉しいですが、実際に発売した商品が、店頭に並んでいるのを見ると一気に達成感がこみ上げてきます。

さらに、大型家電事業部の岩本高さんにも伺った。

―岩本さんはアイリスオーヤマに入社されて約4年ですが、これまでに多くの商品を手掛けているんですよね?

今まで、冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・ドライヤー・ヘアアイロン・脱毛器・フェイススチーマーなど多種多様な商品を新商品開発会議でプレゼンし、商品化に至りました。

―新商品を開発するにあたり、意識していることはありますか?

大山会長が言っていた「生活者の代弁者として、先ずは自らが使い倒す」という言葉は今でも私の考えての核になっている言葉です。私が入社し配属された当初に、「商品の売り手側が、買い手側(お客様)の気持ちに立って考えないとユーザーインの開発は出来ない」と言われ、すごく感激を受けたのを覚えています。

(アイリスオーヤマの大山健太郎会長)

最後に、まだ新商品会議のプレゼンはおこなったことはないが、会議に参加しているホームファッション事業部収納家具事業部の関真里氏に、会議に臨む姿勢について聞いた。

―今後どんな商品を開発していきたいと考えていますか?

私は今収納家具の事業部にいるため、ジャストフィットする収納家具商品を作ってみたいなと思っています。以前は、不満や不便に思うことがあってもあまり気にせず「まあしょうがないか」と思ってしまう性格だったのですが、先輩から「不満・不便を探せ!感情豊かになれ!」とアドバイスいただいたので、今はその目線で新商品を考えています。

アイリスオーヤマの原動力となる生活者視点とアイデアとは

アイリスオーヤマの売上高に占める、発売3年以内の商品割合は約6割以上だ。ロングセラー商品にこだわらず、移り変わる生活者ニーズに応えるため、日夜新商品の開発を続けている。開発者自身も生活者の1人として料理や掃除、ガーデニングや家族・ペットと暮らす中で不満や不便を発見し、商品開発に繋げている。

また、アイデアをいち早く形にするために行われる新商品開発会議。各部署が同時進行で仕事を進められる体制もアイリスオーヤマの秘密の一つだと言えよう。年間1,000点以上の新商品を発売し続け、使う人の生活を便利にする商品を世に出すために、今日もまた会議を重ねている。

行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ