南シナ海に中国漁船が1カ月居座り 中比非難合戦「出ていけ」

 【シンガポール=森浩】中国やフィリピンなどが領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の海域で、中国漁船が1カ月にわたって停泊を続けている。フィリピンは即時退去を求めたが、その兆しはなく、双方が非難を応酬する展開となっている。停泊が長期化すれば、同盟国との連携強化を打ち出すバイデン米政権の対応が注目されそうだ。

 フィリピン政府によると、スプラトリー諸島のウィットサン(中国名・牛軛)礁周辺で3月7日、約220隻の中国漁船が停泊しているのが確認された。船には中国の海上民兵が乗っているもようだ。3月末時点で44隻が現場に残っており、停泊は続いている。

 フィリピンは自国の排他的経済水域(EEZ)内と主張し、ロレンザーナ国防相は3月21日の声明で「挑発的な行動だ」として即時退去を迫った。これに対して在フィリピン中国大使館は、現場海域は中国の一部だと強調した上で、「荒天を避けるために停泊しているだけだ」と反論した。

 ロレンザーナ氏は今月3日、「私は(中国の説明を信じる)愚か者ではない」と述べ、「出ていけ」と警告。これに中国大使館は「素人のような発言を避けるよう求める」と応じた。

 フィリピンのドゥテルテ政権は経済面の影響に配慮して中国に融和的な姿勢を示しており、激しいやり取りに発展するのは異例。実効支配を進める中国への不信感が浮き彫りとなった。

 フィリピンが避けたいのは、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の二の舞になることだ。フィリピンと中国は2012年、スカボロー礁の領有権をめぐり対立。最終的に中国が実効支配する形となった。フィリピンは中国に対して有効な圧力を打ち出せなかったオバマ米政権(当時)に失望した経緯がある。

 既に米国はサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が3月末、フィリピン側に同国の立場を支持する意向を伝え、中国を牽制(けんせい)した。米ブルームバーグ通信は今回の停泊について、「バイデン政権が(南シナ海問題などで)何をしたいか見極めるテスト」であると指摘した。

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