【外信コラム】16年前のソウル市長 外国人学生にも響く「言葉」を持った政治家

 母校が「ユニバーシティー・オブ・ソウル」だと話すと、しばしば有名なソウル大と誤解されるのだが、ソウル市の市立大を卒業した。2005年春、初めて目にした韓国の政治家は、入学式に訪れたソウル市長だった。のちの大統領、李明博(イ・ミョンバク)氏の来賓あいさつは今も記憶に残っている。

 厳しい貧困の中で育ち、露天商を営みながら苦学した李氏。学生時代のエピソードをドラマチックに語り、「若者は夢と挑戦を忘れないでくれ」という言葉に説得力を持たせた。

 大統領在任時に竹島に上陸し、現在に至る日韓関係悪化の起点となったのは周知のとおりだ。国内でも汚職や言論弾圧が非難を浴び、収監されるに至った。それでも、外国人学生にも響く「言葉」を持った政治家だったのは間違いない。

 ソウルでは7日、新市長が選出される。選挙戦では、市民の関心事である不動産の価格高騰や不正投機の解消に向けた建設的な議論はいつしか置き去りにされ、後ろ向きな中傷合戦ばかりが目につく。繰り返し報じられる保守野党候補に関する疑惑は私が大学に入った16年前の話で、いささかうんざりさせられる。

 新型コロナウイルス禍で鬱々とした4月。新生活への希望を抱かせる指導者の言葉を耳にしたいのは、新人特派員の私だけではないはずだ。(時吉達也)

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