香港司法、北京に「降伏」か 周庭氏「6月出所」に影響も

 高裁は、厳しい保釈条件を付けたことで、被告が再犯しないと信じるに足る-と判断したといえる。

 保釈とは、「刑事裁判で有罪が確定するまでは無罪として扱わなければならない」とする推定無罪の原則に基づく制度。かつて英領だった香港では保釈が認められやすい。

 高裁の決定に驚いたのが中国・香港当局だ。中国共産党は黎氏を香港における反中勢力の黒幕とみなしている。党機関紙、人民日報が激しく反発する中、香港当局は最高裁に上訴。最高裁長官を含む5人の判事は今月9日、当局の主張を認め、国安法案件では「通常の保釈の原則」は適用されないなどとして、高裁決定を取り消した。

 5人は、香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官に任命された国安法案件担当の裁判官たちでもある。焦点の国安法42条については「高裁が解釈を誤った」と認定し、(1)まず、被告が再び国家の安全を害する行為をしない十分な理由があるかを判断する(2)十分な理由があると判断したときに初めて保釈条件などが検討されなければならない-として、保釈のハードルを上げた。

 ただ、香港の憲法と位置付けられる香港基本法や、国安法自体にも推定無罪の原則が盛り込まれている。矛盾しないのか。

国安法の司法審査できず

 最高裁は今回、国安法に対する司法審査についても重要な判断を下している。

 「国安法は(中国の)全国人民代表大会(全人代)と同常務委員会が立法化したものであり、香港の裁判所に国安法の条文の違憲性を審査する権力はない」と初めて認定したのだ。

 国安法の解釈権は全人代常務委にあると同法に規定されており、「国安法の司法審査は実質的に不可能」(香港の法律専門家)とみられてきたとはいえ、最高裁が認めた意味は大きい。国安法の司法審査の道は名実ともに絶たれた形だ。

 蘋果日報は19日付の社説で、最高裁は国安法の「特殊な地位」を認め、「基本法によって国安法を解釈する終審権を放棄した」と指摘し、これで「司法の独立があるといえるのか」と厳しく批判した。

 黎氏は収監前、産経新聞のインタビューで「私の裁判を通じて、香港における司法の独立の現状が示されるだろう」と述べていたが、その通りの展開となっている。

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