【外信コラム】「歴史は無理につくれない」 絶えない謝罪と賠償迫る声

 「遺族は失望するだろうが、事件を無理につくり上げられない。法律に従ってできることは全てやった」

 韓国で2014年に高校生ら約300人が犠牲になった旅客船セウォル号事故の捜査を最近終えた特別捜査チームの責任者のコメントだ。捜査や調査は実に8回目で、朴槿恵(パク・クネ)前政権が故意に船を沈め、航跡データを改竄(かいざん)したとの陰謀説を含め、疑惑のほとんどは根拠がないと結論づけられた。

 救助当局者まで含めて約400人が立件され、刑事事件としては決着したはずだが、米軍の潜水艦衝突説など、さまざまな疑惑が持ち出され、朴前政権への攻撃材料にされてきた。

 当局への不信感は根深く、9回目の調査実施が既に決まっている。

 歴史問題で韓国が日本に対し、蒸し返し続けてきた批判が思い浮かんだ。15年の日韓合意では、慰安婦問題の不可逆的解決がうたわれ、存命だった元慰安婦の7割以上が日本からの現金を受け取ったにもかかわらず、日本に謝罪と賠償を迫る声が韓国側で絶えない。

 国際常識に反し、日本政府に賠償を命じた判決には、文在寅(ムン・ジェイン)大統領まで「困惑」を示した。「韓国は失望するだろうが、歴史は無理につくれない」ときっぱり告げず、韓国側におもねった談話で取りつくろおうとした過去の日本の姿勢にも原因がある。(桜井紀雄)

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