米、新貿易協定を先送り 対中政策は「同盟国と集団圧力」

 【ワシントン=塩原永久】米財務長官に指名された連邦準備制度理事会(FRB)前議長のイエレン氏は21日までに、米景気回復が確実にならない限り「バイデン大統領は新たな自由貿易協定に署名しない」方針だと明らかにした。国内の経済対策を優先し、日本をはじめ外国との本格的な貿易交渉入りが先送りされるとの見通しを示した。

 イエレン氏が上院議員の質問に答え、上院財政委員会に宛てた書面で明らかにした。同氏は台湾との貿易協議方針を問われる中で、「米国の労働者やインフラへの大規模投資を実現する前に、いかなる新たな自由貿易協定にも署名しない考えをバイデン大統領は明確にしてきた」と指摘した。

 その上で「国内の景気回復を最優先しなければならない」と強調。バイデン政権が当面、雇用改善などの内政面を重視して政権運営に取り組む姿勢だとした。

 日本がトランプ米前政権と締結した「第1段階」貿易協定は昨年1月に発効した。トランプ前政権は早期に「第2段階」交渉に乗り出し、日本の市場開放を求める方針を示していた。

 バイデン政権は、知的財産権侵害など中国による不公正取引の是正に向け、対中圧力を継続する構えだ。

 トランプ前政権が発動した大規模な対中制裁関税について、イエレン氏は早急に撤廃しないとのバイデン氏の方針を確認。新政権が「対中政策の包括的な検証」を実施すると説明し、検証にあたり「大統領が同盟国と協議し、集団的圧力を課す」方策を模索していると明らかにした。

 ハイテク分野での米中対立をめぐり、イエレン氏は「米国技術が中国の軍事力強化や人権侵害に使われることがないようにする」とし、新政権が「あらゆる手段を駆使して」中国に対抗するとの立場を強調した。

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