米パリ協定復帰、国家間のパワーゲーム激化へ

 【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は就任初日に地球温暖化対策の「パリ協定」復帰を正式に決め、環境・エネルギー分野で国際的な指導力の発揮に意欲を示した。新政権は脱炭素社会に向けた野心的な目標を掲げることで、環境分野における産業政策を展開し、経済成長の起爆剤にする狙いがある。

 米国が環境政策を積極化すれば、この分野で欧州や日本、中国などと国家間のパワーゲームが一段と激化することも予想される。

 バイデン氏は、ホワイトハウス幹部や省庁トップに環境問題の政策通を多数配置し、温暖化対策で政策を総動員して実現する姿勢を示した。

 ホワイトハウスに新設した国内気候政策局を率いる大統領補佐官(国家気候問題担当)に、環境保護局(EPA)長官を歴任したマッカーシー氏を起用。経済政策の司令塔となる国家経済会議(NEC)委員長に登用したディース氏は、環境問題などを担当した大統領上級顧問の経験者だ。

 「環境政策で本気度を反映」(米紙)した布陣の極めつけは、気候変動問題担当の大統領特使にケリー元国務長官を起用したことにある。

 本格的な運用段階に入ったパリ協定や、欧州連合(EU)も導入に動く国境炭素税で、国際的なせめぎ合いが強まるのは必至。その中で「環境問題のプロ中のプロ」(外交筋)とされる大物政治家、ケリー氏が国際的な主導権を米国が取り戻す役目を果たすことになるのか、注目が集まる。

 バイデン政権は、2035年に電力部門の温室効果ガス排出をなくすとの目標を掲げている。その実現に向けて研究開発投資を拡充し、環境インフラに4年で2兆ドル(約207兆円)を投じる計画だ。

 政府部門を手始めに電気自動車(EV)の普及を促す方針で、巨大な自動車市場を抱える米国の動向は、日本を含む世界のメーカーに多大な影響を及ぼす。

 米国では環境問題への政策対応に支持が広がっている。昨年12月のエール大学などの世論調査では、有権者の53%が温暖化対策は政府と議会が「高い優先度」で進めるべきだと回答。クリーンエネルギーの開発・促進が優先課題だとの答えも66%に達した。

 バイデン氏は「環境サミット」開催を提唱したこともある。米国主導型で今後、国際的に厳しい環境対策を迫る動きが出る可能性もある。

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