台北市長「コロナ対応はまず“止血”」 総統選に意欲

 【台北=矢板明夫】台湾の柯文哲(か・ぶんてつ)・台北市長は19日までに産経新聞のインタビューに応じ、台湾が新型コロナウイルス対策に成功したのは「早期の水際対策と市民の防疫意識の高さ」が理由だとし、日本にはまず感染を抑える「止血」が必要だと助言した。2024年の次期総統選の有力候補と目される柯氏は、総統選について「自分の政策理念を実現するために出馬したい」と意欲を示した。

 世界の主要都市が大規模行事を自粛する中、台北市は新型コロナの影響を抑制し、昨年末にはマラソン大会などを開催。これについて、柯氏は03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓を生かして築いた防疫体制と早めの水際対策などが奏功したと説明した。台湾は19日現在、累計感染者を862人、死者を7人にそれぞれ抑えている。

 外科医でもある柯氏は日本に対し、「まずは感染拡大を抑える止血、潰れそうな企業を助ける輸血、それから経済を回復させるために景気対策をするのが手術(の手順)。出血を止めずに手術をすることは危険だ」と、徹底したコロナ対策が必要だと助言した。

 一方、台湾当局が輸入禁止にしている東日本大震災の被災地産食品について、柯氏は「科学的検証をして問題のない食品を輸入し、産地を明記すればよい」との考えを明らかにした。

 今後の中台関係に関し、柯氏は「台湾は米国と中国の2つの大国に挟まれており、単独で中国に立ち向かうことはできない」と指摘。「台湾と同じく米中に挟まれている日本の動きを参考」にして、中国との距離を取ると語った。

 また、中国に弾圧された香港の民主派を市として支援しているとしつつも、その事実をアピールしていないと説明。その理由について「あえて中国を刺激する必要はないと考えているからだ」と述べた。

 総統選に関し、柯氏は「台湾には政治、司法の大改革が必要だ」と出馬の意欲を表明した。ただ、国際情勢や台湾の政局に不透明性があることから「選挙前の世論調査で私への支持率が20%を超えているかが、(出馬を)判断する一つの目安になる」と語った。

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 か・ぶんてつ 1959年生まれ。台湾大医学部卒、著名な外科医。台湾大医学部教授を経て、2014年に台北市長選挙に無所属で出馬し、当時の与党、中国国民党の候補を下して当選。18年に再選された。19年に中道政党、台湾民衆党を設立し、初代党主席に就任した。

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