支持率低下のプーチン政権、「英雄」帰国に危機感

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン政権が国際的にも知名度の高い反体制派指導者、ナワリヌイ氏を帰国直後に拘束したのは、同氏がそれだけ政権の脅威となっていることの裏返しにほかならない。今年秋に下院選を控える中でプーチン大統領や与党「統一ロシア」の支持率は低下しており、政権が反体制派の抑圧をいっそう強めるのは確実だ。同時に、このことがさらに国民の反発を招く可能性も指摘されている。

 欧米諸国が相次いでロシアを非難する声明を出したことについて、露外務省のザハロワ報道官は「各国はロシアの国内法を尊重すべきだ」と反発した。米次期政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)となるサリバン氏の非難に対しては「自国の問題に専念すべきだ」と当てこすった。

 執行猶予中の出頭義務違反を理由にナワリヌイ氏を拘束した露司法当局も「違反者に対する一般的な手続きだ」と主張した。

 だが、ナワリヌイ氏はこれまで政権高官らの不正蓄財や汚職をたびたび暴き、それが大規模な反政権デモにもつながってきた。2019年のモスクワ市議会選や昨年秋の露統一地方選では、最も当選の可能性が高い野党系候補に票を集中させる「賢い投票」運動を展開し、一部の地方議会選で野党や独立系候補の躍進を導いた。これに対し、政権側はナワリヌイ氏に刑事捜査や巨額の賠償請求を行い、圧力をかけてきた。

 このため、露独立系メディアでは、政権は毒物襲撃事件から生還して英雄的存在となったナワリヌイ氏を拘束・収監し、社会的・政治的に抹殺しようとしている-との見方が支配的だ。

 露独立系機関「レバダ・センター」の世論調査によると、長引く経済低迷や強権統治への反発を背景に、プーチン大統領の支持率は過去最低水準の6割前後まで下がっている。17年12月に37%だった統一ロシアの支持率も20年11月には29%まで低下しており、今年9月の下院選では統一ロシアの苦戦と政権基盤の弱体化が予想されている。

 こうした情勢を受け、露政権は反体制派の締め付けをいっそう強めている。昨年末には集会の規制やインターネット統制を強化する法改正をあわただしく行った。スパイと同義である「外国の代理人」の指定範囲も拡大した。欧米の批判をいとわず、反政権機運を力で押さえ込む姿勢が鮮明になっている。

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