【外信コラム】文大統領の「ステルス独裁」とは 国民からは「ずるい、卑怯だ」の声

 韓国人は政治的ユーモアにたけている。任期途中に弾劾された朴槿恵(パク・クネ)前大統領は在任中、あまり表に出ず国民との意思疎通が足りないといって「マリ、アントンハネット」と皮肉られた。フランス革命で追放・処刑された王妃マリー・アントワネットを念頭に「話が(マリ)通じない(アントンハネ)」という韓国語からきた、きついだじゃれだった。

 で、今度は文在寅(ムン・ジェイン)大統領がメディアから「ステルス独裁」といって皮肉られている。ステルスとはレーダーに捕捉されない「ステルス戦闘機」で知られるが、目に見えない、ひっそり、こっそりといった意味だ。文大統領も大統領官邸にこもっていてよく見えない、国民の不満や批判に耳を傾けない、独善的で独走しているというわけだ。

 たとえば気に食わない検事総長を追い出そうと強行した懲戒処分が裁判で認められなかった際の反省の弁など、国民あるいはメディアの前で自分が言うのではなく、代わってスポークスマンに言わせている。

 こういうスタイルが目立つので国民は「ずるい、卑怯(ひきょう)だ」と不満を募らせる。近く年頭記者会見をやるようだが、4年近い任期中に記者とのやりとりなど数えるほどしかない。その“ステルス”ぶりは公約違反の中でも最たるものだろう。(黒田勝弘)

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