尖閣など安保警戒で日本の対中観は厳しく  

 【北京=三塚聖平】中国は王毅国務委員兼外相による訪問外交を通じ、日本重視の姿勢を示して連携強化を狙った。米国の政権交代もにらみ日本との距離を接近させ、宙に浮いている習近平国家主席の国賓訪日に道筋をつける狙いもあったとみられるが、中国側の思惑とは裏腹に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での領海侵入など安全保障に関する警戒から日本側の対中観はむしろ厳しくなっている。

 中国外務省は25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて制限している日中ビジネス関係者の往来を30日に始めると発表した。24日の王氏と茂木敏充外相による日中外相会談での合意を踏まえたものだ。中国は王氏訪日を通じ日本に歩み寄りの姿勢を見せた形だ。

 しかし、日本の対中世論は厳しさを増している。日本の民間非営利団体「言論NPO」と中国国際出版集団が今月中旬に発表した共同世論調査では、中国に「良くない」との印象を持つ日本人は前年比5・0ポイント増の89・7%。中国側は、経済面で日本重視の姿勢を示しているにも関わらず日本の対中世論が悪化していることにいらだつ。

 日本の厳しい見方は安全保障上の懸念が強まっているからに他ならない。中国に良くない印象を持つ理由(複数回答)として最も多かったのは、「尖閣諸島周辺の日本領海や領空をたびたび侵犯している」の57・4%だった。

 24日の日中外相会談後の共同記者発表でも、王氏は尖閣諸島について「われわれはもちろん引き続き自国の主権を守っていく」との主張を強く繰り返した。

 日中外交筋は「中国が経済面で日本に配慮しているのは間違いないが、安保上の懸念に応えていない。そうした状況下で、日本の対中観は大きくは変わらないだろう」との見方を示す。

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