中国「TPPに意欲」 米の包囲網切り崩しへ先手

 【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加意欲を表明することで、米国の機先を制して攻勢に出た。米大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領が政権を握っても対中政策の軟化は見込みにくく、中国としては米国が進める「対中包囲網」の切り崩しが喫緊の課題だ。米国の外交戦略の方向性が定まらない中で、中国は「TPP」という対米牽制(けんせい)の新たなカードを手に入れようとしている。

 中国はこれまでTPPについて「前向きで開放的な態度を取っている」(李克強首相)と述べるにとどめており、今回の習氏の発言で大きく踏み込んだ。このタイミングでの表明が、政権移行期で混乱する米国を意識したのは明白だ。

 トランプ米政権は、中国製通信機器の排除を各国に求めるなど対中包囲網の形成を呼びかけてきた。こうした対中強硬姿勢はバイデン氏が大統領になっても大きくは変わらないという見方が中国国内でも根強い上、「自由で開かれたインド太平洋」の旗印の下で日米豪印が連携を強めるという動きもある。

 そうした中で、世界2位の経済規模を武器に自国の影響が及ぶ経済圏を広げ、対中包囲網を切り崩す思惑がうかがわれる。15日には日中韓などが参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)交渉が妥結して15カ国が署名したが、北京の日本人エコノミストは「中国にとりRCEP妥結は、世界や地域で孤立していないとアピールする効果があった」と指摘する。習氏は19日に行われたAPEC首脳会議の関連会合での演説で「多国間や2国間の投資・貿易協力に積極的に参加する」と経済連携交渉を加速させる方針を示している。

 実際に中国がTPPに参加するハードルは高い。TPPは、RCEPよりも関税撤廃率やルール作りで高い水準にあり、参加には国有企業改革などが求められるからだ。ただ、参加にまでたどり着けないとしても、TPPから離脱した米国を横目に開放的な姿勢を戦略的にアピールすることにつながるのは間違いない。

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