香港の民主化運動「冬の時代」へ バイデン氏に期待の声も

 【台北=矢板明夫】香港立法会(議会)の民主派議員4人が、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の決定に基づき議員資格を剥奪されて18日で1週間になる。香港当局は、決定の正当性を強調し民主派への批判を強めているが、香港市民に大きな反発はみられない。民主派関係者は「香港の民主化運動は完全に冬の時代に入った。米国のバイデン次期政権に期待するしか望みがなくなった」と漏らしている。

 林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は17日、香港市内で行われたイベントに出席した際、「香港は愛国者によって統治されなければならない」と、かつての中国の最高実力者、●(=登におおざと)小平の言葉を引用し、中国への「忠誠」の重要性を強調した。議員資格を剥奪された4人を「愛国者でない」と暗に批判した形だ。全人代常務委の決定でも、中国への忠誠が議員の要件とされた。

 1989年の天安門事件で民主化運動を武力弾圧した●(=登におおざと)の言葉をこのような形で用いれば、昨年なら市民の猛反発が起きただろう。だが、インターネット上に批判の書き込みはほぼ見られなかった。4議員の資格剥奪を受け民主派議員15人が抗議のため辞表を提出したが、それ以上に反発は広がっていない。

 立法会が親中派にほぼ独占されるという深刻な状況にも関わらず反対運動が盛り上がらないのはなぜか。香港民主党東区支部の元副主席で台湾在住の楊月清氏は、一般市民が香港国家安全維持法(国安法)違反で摘発されるのを恐れてデモに参加しなくなったことに加え、「民主派に献金する企業が激減した。民主化運動は『兵糧攻め』にあっている」と指摘する。

 台湾に逃れた元学生グループ指導者の男性は「トランプ米大統領に一時は期待したが、有効な対策は何も取らなかった」とため息をついた。その上で「われわれの仲間は世界各地で陳情活動をしているが、一番感触が良いのは米国のペロシ下院議長ら民主党関係者だ」とし、「同じ政党のバイデン前副大統領に期待している」と話した。

 バイデン氏は大統領選中の7月に発表した外交政策で、就任1年目に「権威主義への対抗」などを目的に自由主義世界の国々の指導者を集め「民主主義サミット」を開催するとした。香港の民主活動家らはその場で香港問題が議題になることに強い期待を寄せる。

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