危険なバイデン氏への過剰期待 トランプ政権と大きく違う「対中政策」、中国の「邪悪さ」にいつ気づくか

 象徴的なのは、新型コロナウイルス問題だ。

 トランプ政権は中国との親密な関係が浮き彫りになった世界保健機関(WHO)から脱退したが、バイデン氏は「直ちに復帰する」と宣言した。ましてや、中国に損害賠償を求めるなどとは、一言も触れていない。

 ようするに、バイデン政権は中国をライバル視し「不公正な貿易慣行や人権弾圧は許せない」と言っているが、だからといって「相手が崩壊するまで戦う」などとは、露(つゆ)ほども思っていないのである。

 ここが、「中国共産党こそが諸悪の根源」とみなしたトランプ政権との大きな違いだ。

 中国は当然、このスキを突いてくる。相手の要求に応じるふりをして、時間を稼ぎ、チャンスと見れば、一挙に攻勢に出るだろう。それに気がつけば、バイデン政権も強硬方針に転じざるを得ない。

 独裁政権の本質は変わらない。変わるのはバイデン側で、問題は「いつ相手の邪悪さに気がつくかどうか」なのだ。トランプ氏は末期になって気がついたが、バイデン氏はまだ理解していない。

 もっとも、来年の大統領就任式までに中国が台湾奪取に動く可能性もある。そうなれば、米中の緊張が一挙に高まり、以上の話はご破算だ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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