バイデン大統領で日本は正念場 中国海警法「武器使用」明記の暴挙も大統領選の喧騒でかき消され

 【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】

 米大統領選が混乱しています。ジョー・バイデン前副大統領が当選に必要な選挙人(270人)を確保しても、ドナルド・トランプ大統領は「不正投票」を訴えて、法廷闘争に突入しました。最終的な落着までは時間がかかりそうです。想像した通り、米国は内向きになり、対外的な意思決定は難しい状況になりました。

 こうしたなか、中国が攻勢を強めています。

 香港ではこの1週間で立て続けに、立法会議員を含む民主活動家や抗議活動の番組を制作したテレビ局ディレクターが逮捕されました。今までなら、国際的に大きく報道され、米政府も声明を出すなどしてサポートする事案ですが、大統領選の喧騒でかき消されてしまっています。

 中国軍機による、台湾の防空識別圏や領空への侵入は、まさに日常茶飯事と化しています。

 さらに、先日全文が公表された中国海警法の草案には、外国船が中国の管轄する海域で違法に活動し、停船命令に従わない場合には武器を使えると明記しました。

 そもそも、違法かどうかは国際法ではなく中国の法律で判断されますし、中国が管轄する海域とは中国が“主張する”管轄海域ですから、国際法の常識からは外れた判断がなされます。

 具体的には、沖縄県・尖閣周辺の日本領海で漁をしていた日本漁船に対し、「中国の管轄海域で命令に従わなかった」と一方的に決めつけられ、武器を使用される可能性を否定できないわけです。これを暴挙と言わずして何と言いましょう?

 ところが、これも米大統領選の真っただ中。現時点で、米国務省が反応したとは聞きません。

 また、大統領選の混乱が収まったとしても、バイデン氏が次期大統領となるのは日本にとって正念場だろうと思います。

 一般に、米民主党はオバマ政権がそうであったように、軍事費の削減に積極的です。バイデン氏も新たな社会保障の枠組み(バイデンケア)創設など、財源がいくらあっても足らないような福祉政策に重きを置いています。勢い、軍事費を減らしにかかるでしょう。

 その時に、アジア太平洋における米軍のプレゼンスがどこまで維持されるのか? 日本の安全保障にも直接か関わってくる問題ですから、与野党の枠組みを超えて議論しなくてはいけません。対中政策だって、言われているほど厳しく出るのかも未知数です。

 ところが、日本の国会では連日、日本学術会議の問題ばかりが取り上げられています。控えめに言っても、「事の軽重を見誤っている」としか思えません。それとも、外交・安保は票にならないから取り上げないというのでしょうか?

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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