消えゆく米朝対話に焦る韓国 微妙な時期に外相訪米

 【ソウル=桜井紀雄】訪米中の韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は米東部時間9日、ポンペオ米国務長官との会談で、朝鮮半島情勢を安定的に管理するために緊密な連携を維持することで一致した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が米政権の移行を目前に、トランプ政権側との外相会談に応じた裏には、トランプ大統領が築いた北朝鮮との対話路線が否定されることへの危機感があるようだ。

 「今は非常に敏感な時期ながら来年1月まではポンペオ氏がカウンターパートだ」。会談に先立ち、康氏は記者団にこう説明した。

 韓国外務省によると、両外相は朝鮮半島平和プロセスの進展に向けた努力や外交当局間の協議を続ける方針を確認した。だが、米大統領選でバイデン前副大統領が当選を確実にする中、トランプ政権との協議に限界があることは明らかだ。北朝鮮の軍事的挑発を含む不測の事態に備える現状管理の域を抜け出せない。

 ポンペオ氏の10月の訪韓予定がトランプ氏の新型コロナウイルス感染で急遽(きゅうきょ)見送られ、米側が埋め合わせとして康氏を招いていた。

 文大統領は9日、「トランプ政権との間で成し遂げた大切な成果が米次期政権に引き継がれ、一層発展するよう最善を尽くす」と強調した。トランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳会談について、バイデン氏が「無意味だ」と断じる中でも米朝対話路線の継続に望みを託している。

 文氏は、バイデン氏や主要な関係者と「多方面で意思疎通したい」とも述べており、康氏の訪米にはバイデン陣営との接触を模索する目的もある。バイデン氏は故金大中(キム・デジュン)元大統領らとの親交が厚かったが、文政権は過去の韓国の政権と違い、バイデン氏側に深い人脈を持っていないとされ、バイデン政権の出帆前から難しい外交環境に直面している。

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