大統領選にらみ退院急いだトランプ氏 反転攻勢の成否はみえず

 【ワシントン=黒瀬悦成】新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領がわずか3日で退院したのは、感染症を早々に克服した「強い指導者」としてのイメージを有権者に印象付け、11月3日実施の大統領選での劣勢を挽回したい狙いが込められている。

 この日、入院先から専用機でホワイトハウスに戻ったトランプ氏は記者団に「気分は良い」と強調。その後、専用ヘリを見送ったホワイトハウスのポーチで撮影したビデオメッセージをツイッターに投稿し、「新型コロナを恐れるな」と呼びかけ、「私たちは回復し、仕事に戻り、前に進む。気を付けつつ外に出よう」と訴えた。

 トランプ氏の発言は、支持層を奮い立たせ、陣営の求心力を高める効果を狙ったことは間違いない。

 ただ、ロイター通信と調査会社イプソスが4日発表した全米世論調査(今月2、3日実施)では、65%が「トランプ氏が新型コロナをより深刻に受け止めていれば感染することはなかった」との意見に「同意する」と答えており、トランプ氏のウイルス危機への態度を多くの米国民が疑問視しているのも事実だ。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた大統領選に関する主要世論調査の平均支持率(5日現在)はトランプ氏が42・2%、大統領選の民主党候補、バイデン前副大統領が50・7%で、バイデン氏が引き続き優勢に選挙戦を進めている。

 トランプ氏は5日、ツイッターに「間もなく選挙遊説を再開する!」と書き込み、少なくとも1週間は続くとみられる自主隔離期間の間もオンライン形式などで選挙運動を実施する意向を表明した。

 ただ、その間は支持基盤活性化への最大の武器としてきた対面集会を封じられ、不利な展開を強いられる。

 一方、最近まで新型コロナ対策で対面集会を自粛していたバイデン氏は5日、選挙の行方を左右する「激戦州」の南部フロリダ州マイアミを1年以上ぶりに訪れて集会を開くなど積極策に出ている。

 トランプ氏は自身の感染について「本で学べないことを実地で学んだ」と語る。今後、15日にマイアミで予定される大統領選の2回目の候補者討論会の場も含め、新型コロナ対策で有権者を納得させる基軸を打ち出せるかが反転攻勢の成否を握るカギとなる。

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