トランプ大統領が窮地 告発本出版の姪が「遺産詐取」で提訴

“骨肉の争い”の延長戦

 メアリー氏が今年9月に起こした訴訟は、かつて和解により解決した、祖父の遺産の取り分をめぐる“骨肉の争い”の延長戦といえる。直接のきっかけは、メアリー氏が資料を提供し、ニューヨーク・タイムズ紙が2018年10月に記事化した調査報道だ。同紙により、メアリー氏は一族の財政事情について以下のことを知ることになった。

 〈フレッド(メアリー氏の祖父。トランプ氏の父)はその生涯を通じて、妻と二人で子どもたちに何億ドルも渡していたという。祖父が生きていたあいだ、ドナルドだけでも4億1300万ドル相当を、しかもその多くを疑問の余地のある手段で受け取っていた。一度も返済したことのない融資、満期を迎えたことのない不動産投資事業。つまり実質的に、一度も課税されたことのない贈与だ。そこにはドナルドが祖父の帝国を売却したことで手にした1億7000万ドルは含まれていない〉(同前)

 実はメアリー氏がかつて和解した当時、祖父の遺産は「3000万ドルしかない」とされていた。しかし実際は、すでに故人だったメアリー氏の父を除くトランプ氏らのきょうだい4人が、さらに巨額な遺産を、相続税や贈与税を払うことなく山分けしていた、というのだ。

 メアリー氏は今回の訴状で、トランプ氏とマリアン氏、ロバート氏らが共謀し、祖父フレッドの遺産相続をめぐって、当時未成年だったメアリー氏に不利な契約を結ばせたと主張していると報じられている。「詐欺行為は、一族の稼業だったのみならず、生き方そのものだった」などと厳しく批判しているという。

 大統領選を間近に控えた今、トランプ大統領は姪の提訴にどう応じるのだろうか。支持率の行方とともに、目が離せない。

 ●取材協力/高濱賛(在米ジャーナリスト)

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