中国、気候変動対策で主導権狙う

 【北京=三塚聖平】米国がハイテク分野などで「中国包囲網」を各国に呼び掛ける中で、中国は温暖化対策で国際社会の主導権を握り対抗する構えを見せる。

 「中国は国としての自主的な貢献度を高め、より強力な政策と措置を取る」

 中国の習近平国家主席は、22日の国連総会一般討論でのビデオ演説でこう強調した。世界最大の温室効果ガス排出国である中国が、排出量の実質ゼロを目指す長期目標を表明するのは初めてとみられる。

 習氏が意識したのは、中国に次ぐ排出量世界2位の米国の存在だ。中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は23日の記者会見で、習氏が示した長期目標について「米国による中国への不当な非難の有力な反撃になる」と対抗意識を隠さなかった。

 中国はこれまでも、温暖化対策を国際社会で存在感を高める“カード”として最大限活用してきた。習氏は2016年9月にオバマ米大統領(当時)とともに地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」批准を正式発表し、協定発効を前進させたと評価されている。

 現在、トランプ米政権は温暖化対策に消極的な姿勢を見せており、「習氏が米政権の指導力不在を利用していることは驚くことではない」(国連気候変動枠組み条約のフィゲレス前事務局長)と指摘される。

 また、香港問題などをめぐり欧州連合(EU)が対中警戒を強めている中で、欧州側が伝統的に重視している気候変動対策をてこに関係回復を図ろうとする思惑もうかがわれる。

 習氏は、長期目標をいかに実現するか明らかにしていないが、演説では「各国は新たな科学技術革命と産業変革の歴史的なチャンスをつかむべきだ」と強調した。環境対応の製品・ビジネスの拡大を進め、経済効果も狙う考えとみられる。

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