大国の干渉招く“小国の悲哀” ベラルーシ抗議デモはどこに向かうか

 人口950万人の旧ソ連構成国、ベラルーシが揺れている。大統領選で不正があったとする大規模な抗議デモが続く中、ベラルーシをはさんで向かい合うロシアと欧米諸国が綱引きを活発化。一連の混乱からは、「緩衝地帯」としての地政学的価値を持つがゆえに、絶えず干渉を受ける“小国の悲哀”が見えてくる。(モスクワ支局長 小野田雄一)

1千年の被支配の歴史

 ベラルーシのルカシェンコ大統領(66)はしばしば「欧州最後の独裁者」と呼ばれる。旧ソ連の政治エリート出身で、1994年以来、5期26年にわたり君臨してきた。

 しかし、この国では一般的に、「独裁者」という言葉がさほどネガティブな意味を持たなかった。ルカシェンコ氏自身、冗談めかして「私は独裁者だが週末も働いている」と公言していた。

 専門家は「ルカシェンコ氏のある種のおちゃめなキャラクターに国民は親近感を持っていた」と語る。過去の大統領選でも選挙不正は疑われたが、国民は半ば当然視し、大きな抗議デモには発展してこなかった。

 こうした国民の従順さは、過酷な歴史に由来するといわれる。

 ベラルーシは、欧州とロシアの中間に位置することや、文化的後進地帯とみなされてきたことから、旧ソ連が崩壊した1991年まで、実に1千年にわたって他国の支配を受けた。その中で、欧州やロシアの“侵略者”にやみくもに抵抗するよりも、先進文化の導入などの利益を享受する知恵としたたかさが育まれた-という見方だ。

 そうした特性はルカシェンコ氏の外交姿勢にも表れている。欧米とロシアの双方に「ベラルーシを大切にしなければ相手側に付く」と半ば脅迫的な態度を取り、独立や主権を守りつつ双方から利益を得る戦略を取ってきた。こうした手法に、国民も一定の理解を示してきた。

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