国連創設75年…米中対立で祝福ムードなく 中国の政治利用に懸念

 【ニューヨーク=上塚真由】国連総会(193カ国)は21日、国連創設75年を記念する高官級会合を開催し、約120カ国の代表がビデオ演説に臨んだ。会合では、新型コロナウイルス感染拡大など地球規模の問題の解決に向けて「多国間主義は選択肢ではなく、必須だ」と強調し、国際協調の促進を確認する記念宣言を採択した。

 記念宣言では、75年の功績について、非植民地化の促進、疫病の撲滅、人道支援活動などを挙げ、「多くの人々により良い世界への希望を与える国際組織は他にはない」と国連の存在意義を強調した。そのうえで、「75年前に国連創設者が予測した世界になっていない」と指摘。不平等や貧困の拡大、武力紛争や気候変動、感染症など課題は山積しているとし、「多国間主義の再生を通じてのみ解決できる」と言及した。

 だが、75年の節目を記念するこの日の会合でも、新型コロナ対応などで対立を深める米中の溝は、浮き彫りとなった。

 米国は、シャレ国連次席大使代理が議場で演説し、中国などを念頭に「国連は透明性を欠き、専制国家や独裁国家の意図に影響されることが多すぎる」と懸念を表明。一方の中国は習近平国家主席がビデオ演説で「一国主義は八方塞がりだ」と述べ自国優先のトランプ政権を暗に批判した。

 米中は国連への取り組みも対照的で、トランプ氏は75年の記念会合に声明も出さず、「ホスト国である米国の国連軽視の姿勢が浮き彫りとなった」(国連外交筋)との指摘があがる一方、中国には国連の政治利用に対する懸念が高まる。

 中国は昨年から国連分担金負担率で日本を抜いて2位に。近年は、幹部職員への中国人登用を強く求めたり、国連の関連文書に「人類運命共同体」など習氏が提唱する外交理念を盛り込み、独自の構想を推し進めたりする動きが目立つ。

 外交関係筋によると、中国は75年の記念宣言にも「共通の未来のためのビジョン」との文言を盛り込むよう提案したが、日米や英国、インド、カナダ、オーストラリアが「習氏の理念と近すぎる」と反発し、草案から削除されたという。

 大国が対立する中、記念宣言通りにコロナ対応などで結束するのは困難で、各国の演説にも75周年の祝福ムードはなく、「(国連の)基盤は崩壊しつつある」(マクロン仏大統領)、「われわれは危機的状況にある」(カナダのトルドー首相)などと国連の現状に厳しい見解を示す国が目立った。

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