米国、イラン武器輸出再開を警戒 国連制裁「復活」

 【ワシントン=住井亨介】トランプ米政権が対イラン国連制裁の全面復活を宣言したのは、イランが周辺国への武器輸出を再開し、中東地域が一層不安定化することを強く警戒しているためだ。

 2015年のイラン核合意では、イランが核開発を制限する見返りに、欧米などが経済制裁を解除。その一方でイランに対する国連の武器禁輸措置は5年間延長されたが、10月に期限切れを迎える。

 イランはイスラム教シーア派の中心地の地位を利用してイラクやシリア、レバノンなどシーア派勢力が伸長する国々に介入。「シーア派の弧」などと呼ばれる勢力圏を形成してきた。

 これに対し、米国は今年1月、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したほか、イランによる各国の武装勢力への資金供給を経済制裁で締めあげてきた。イラン包囲網が効果を表し始めたところで武器禁輸が解除されれば、包囲網に大きな穴が開く。ポンペオ米国務長官が「イランが武器商人に戻るのを許せば、中東は不安定化する」と危惧を強めるのは、これまでの努力が水泡に帰す可能性もあるためだ。

 ただ、国連制裁の全面復活を図る米国の主張に国際社会の同調はほとんどなく、実効性は不透明だ。イランの仇敵(きゅうてき)であるイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの国交正常化を仲介してイラン包囲網の強化に成果を挙げたトランプ政権は、国連制裁の履行を名目にさらなる制裁強化で臨むとみられる。

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