中国、菅氏の「反中包囲網」否定を好感…米ミサイルの配備警戒

 【北京=西見由章】日本の次期首相となる自民党の菅義偉総裁の外交政策について、中国国内では、日米同盟を基軸としつつ対中関係にも配慮する安倍晋三首相の路線を踏襲するとの見方が支配的だ。中国側が最も懸念するのは日米が結束して対中圧力を強める事態で、特に米国の中距離弾道ミサイルが日本に配備されるかを注視している。

 菅氏は総裁選で、アジア版NATO(北大西洋条約機構)を創設するとの石破茂元幹事長の主張について「反中包囲網にならざるを得ない」との理由で否定的な見解を示した。この発言を念頭に、中国政府系英字紙チャイナ・デーリーは15日付社説で「中国政府にとって良いニュースは、中国との適切な関係を維持する意義を菅氏が非常に意識していることだ」と評価。菅氏が同盟国の米国と、最大の貿易相手である中国との間でバランスを保つことに苦労するとも予測した。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は15日付社説で「日本が完全に米国に味方して中国に圧力を加えることはありえないが、日本を(中国側に)引き寄せられるとの幻想も持つべきではない」と指摘した。

 こうした米中間の日本をめぐる綱引きにおいて中国側が注目しているのが、米国が開発する中距離弾道ミサイルの配備を日本が受け入れるかどうかだ。

 米海軍を排除する中国の「接近阻止・領域拒否」戦略を支えるのが、「空母キラー」と呼ばれる東風(DF)21Dなどの対艦弾道ミサイルだ。だがロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約を失効させた米国は、中国本土のミサイル基地をたたく中距離弾道ミサイルをアジア太平洋地域に配備する計画で、その場合、中国の戦略は「重大な打撃」(中国人軍事専門家)を受ける。日本への配備については中国国防省の報道官が8月、「必ず断固とした対抗措置をとる」と牽制(けんせい)している。

 中国国際問題研究院の蘇暁暉(そ・ぎょうき)副研究員も国営中央テレビの番組で14日、日本が安全保障面で「米国の地域戦略に一層協力」し、アジア太平洋地域に「不確実な要素」をもたらす可能性があると警戒感を示した。

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