ジョンソン英首相、離脱協定修正法案を提出 FTA交渉に影響も

 【ロンドン=板東和正】1月末に欧州連合(EU)を離脱した英国のジョンソン首相は9日、発効済みのEUとの離脱協定について修正を加える内容の法案を英議会に提出した。EU側は、離脱協定を一方的に変更しようとするジョンソン氏に「国際法に違反している」と反発を強めており、自由貿易協定(FTA)など新たな将来関係の構築に向けた交渉に影響を与える可能性がある。

 離脱協定では、英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランドの境界で情勢を不安定にする国境管理を復活させないために、北アイルランドの関税手続きは当面、英本土、アイルランド双方との境界でEU規則に従う方針が明記されていた。

 しかし、9日に提出された法案では、離脱協定で定まった北アイルランドの国境問題の解決策について「(英国は)不適用にしたり、修正したりできる権限がある」と指摘。英メディアによると、英EUのFTA交渉が決裂した場合に、英本土と北アイルランド間を動く商品の関税ルールをEU規則ではなく、英国によって決められるとの内容が盛り込まれた。ジョンソン氏は9日、法案を提出した理由について「離脱協定の極端で非合理な解釈から国を守ることが必要だ」と説明した。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長は同日、自身のツイッターで「英政府が離脱協定の違反しようとしていることを非常に懸念している」とした上で「(法案の成立は)国際法を破り、信頼関係を損ねる」と非難した。ただ、法案は「国際法との不一致や矛盾にかかわらず、効力を有する」と明記しており、ジョンソン政権はEU側の主張に反発するとみられる。

 ジョンソン氏が離脱協定の修正を発表した背景には、英EUのFTA交渉でEUに揺さぶりをかけ、譲歩を迫るためとの見方がある。英紙タイムズは「EUとの停滞した貿易交渉に圧力をかけるためであるかもしれない」と分析する。

 英EUはFTAなどをめぐり、8日からロンドンで集中協議を実施しているが、「公正な競争条件」の確保や「漁業権」で双方が主張を譲らず、交渉は前進していない。ジョンソン氏は7日、「(10月15日のEU首脳会議までに)合意できなければ、われわれの間にFTAはない」とEU側に妥協を迫った。

 一方で、ジョンソン氏の法案は英国の信頼を損なうとの懸念が英与党内でも広がっており、法案が成立するかどうかは不透明だ。

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