台湾、中国は「大国としての責任を」と批判 ミサイル発射で

 【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統は27日、オーストラリアのシンクタンクとのテレビ会議での演説で、「北京(中国政府)が自制力を保ち、(地域安定を維持する)大国としての責任を果たすことを期待する」と述べ、前日に南シナ海に向けて複数の中距離弾道ミサイルを発射した中国を暗に批判した。

 台湾の国防部(防衛省に相当)も同日、中国軍によるミサイル発射について「私たちは台湾海峡周辺の情勢、空中と海上の動きを十分把握している」との声明を発表した。

 今月中旬にアザー米厚生長官が台湾を訪問して以降、中国軍は渤海、東シナ海、南シナ海などで複数の軍事演習をほぼ同時に展開した。米台接近に強く反発し、軍事演習を通じて台湾への圧力を強化している形だ。中国軍東部戦区の張春暉(ちょう・しゅんき)報道官は13日、一連の軍事演習について「現在の台湾海峡情勢をめぐり、主権を擁護するための必要な行動だ」と強調した。

 これに対し、台湾の蔡英文政権は、断固防衛の姿勢を示している。蔡氏は23日、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所のクリステンセン所長(大使に相当)と中国大陸に近い金門島に赴き、戦没軍人の慰霊祭に参加したほか、前線を守る台湾軍の兵士らを励ました。国防部も同日、ミサイル発射や戦闘機の飛行シーンをまとめた軍の宣伝動画を公開し「最後の一兵卒まで敢然と戦う」との字幕を添え、軍の士気を高めた。

 蔡政権の強い対中姿勢に対し、最大野党、中国国民党は「中国を刺激すべきではない」と主張。馬英九前総統は22日に台北で開かれたシンポジウムで「(一つの中国原則を盛り込んだ)『92年コンセンサス』を受け入れ、両岸対話による対立解消を」と訴えた。

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