アフガン、進まぬ国内和平 ガニ政権、捕虜解放に消極的 米大統領選の行方を注視?

 【シンガポール=森浩】トランプ米大統領は23日に発表した大統領選の公約でアフガニスタンからの米軍撤収方針を改めて強調したが、アフガン国内では“米軍撤収後”を見据えた政府とイスラム原理主義勢力タリバンの和平協議が始まらない状況が続いている。協議の前提となる捕虜の解放が難航しているためだ。アフガンのガニ大統領は捕虜解放を渋り続けており、米大統領選の結果を見たい意向があるとも指摘される。

 米国とタリバンが2月に結んだ和平合意には、駐留米軍の14カ月以内の完全撤収のほか、政府がタリバン側の捕虜5千人を、タリバンが政府側の捕虜千人を解放し、その後、政府とタリバンが和平協議を開くことが盛り込まれた。

 ガニ氏は捕虜4600人の解放は認めつつ、「重大な犯罪に関与した」(アフガン政府)とされる400人については消極的な姿勢を示した。タリバン側は「千人すべて解放した」と発表している。

 ガニ政権の姿勢に対し、アフガンで最高の権威をもつ意思決定機関ロヤ・ジルガ(国民大会議)は9日、400人全員の解放を求め、和平協議の開始を促した。それでもガニ氏は追加の解放は80人にとどめた。

 ガニ氏は、米国とタリバンとの和平合意について、自身が直接介在できない形で進んだことに不満を抱いているという。また、アフガン政府にとって捕虜の処遇はタリバンとの数少ない交渉カードであることも解放に慎重な理由とされる。

 地元政治評論家は、「ガニ氏は、(現在の和平プロセスを強く推進した)米国のトランプ政権が継続するか、見極めようとしている可能性がある」と分析する。ただ、民主党候補のバイデン前副大統領もトランプ政権と同様、駐留米軍の撤収を打ち出している。大統領選の結果によって、駐留米軍撤収や国内勢力同士の和平進展を求める米国の方針にどれほどの影響が出るかは未知数だ。

 国内の和平協議が始まらない一方、米国は2月時点で約1万2千人いた駐留米軍の撤収作業に着手しており、既に8600人にまで削減した。トランプ氏は「11月には4千~5千人になる」との見通しを示している。政府の後ろ盾となっている米軍の撤収が完了すれば、ガニ政権は国内の治安維持に一層不安を抱えることになり、求心力低下は避けられない。捕虜の全面的な解放に踏み切るかガニ氏の判断に注目が集まりそうだ。

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