米大統領選 バイデン氏の国内政策は 労働者保護を優先

 【ワシントン=平田雄介、塩原永久】米民主党中道派のバイデン前副大統領の国内政策は、民主党の大統領候補指名を争った急進左派、サンダース上院議員の支持者を取り込む過程で、急進左派の影響を受けた。最低賃金引き上げなど「労働者保護」の政策を前面に、同党が2016年大統領選で共和党のトランプ大統領に奪われた労働者層の支持奪還を目指す。

 サンダース氏は党全国大会初日の17日、バイデン氏支持を表明する中で、最低賃金の時給15ドル(約1600円)への引き上げや、年間12週間の有給休暇の取得確保、3~4歳児を対象にした就学前教育の普及で同氏と合意したと紹介した。35年までに発電所から放出される炭素排出量をゼロにすることも目標にする。

 こうした政策は急進左派が主張してきたもので、18日採択された党の政策方針を示す綱領に反映された。

 しかし、バイデン氏は、民間の医療保険を全廃し、政府運営の保険に強制加入させる国民皆保険制度を創設するというサンダース氏の主張には応じなかった。綱領には手ごろな価格の公的医療保険の創設が盛り込まれた。新たな選択肢を作り、民間の医療保険の価格を下げる狙いからだ。

 サンダース氏は「国民皆保険に至る最良の道筋では同意できなかった」としたが、バイデン氏は、高齢者向け公的医療保険(メディケア)の受給開始年齢を65歳から60歳に引き下げる方針だ。全てが実現すれば国民皆保険に一歩近づく。

 経済政策では、民主党の伝統的な政策である労働者重視の姿勢を鮮明にする一方、トランプ政権による法人税などの大型減税を「大企業のためのものだ」と批判。共和党の「大企業優遇」に対し、民主党としては「労働者保護」を優先する姿勢を明確に打ち出すことで政策の差別化を図ろうとしている。

 民主党の政策綱領は、新型コロナウイルス流行前から「経済が労働者家庭と中間層に不利なように仕組まれていた」と強調。労働組合の強化に向けた法改正も掲げた。すでに発表した経済再生案では、法人税を引き上げ、雇用回復に結び付けるインフラ投資や自然エネルギー振興策の財源にするとしている。

 雇用の海外流出を防ぐ通商政策を掲げているのはトランプ氏と同じだが、「関税戦争」に頼らない手段をとるとしている。ただし、具体策は不透明だ。

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