徴用工訴訟で解決策見いだせない韓国 望みは司法の裁量のみ

 【ソウル=名村隆寛】いわゆる徴用工訴訟で韓国最高裁が新日鉄住金(現・日本製鉄)に賠償を命じた判決で、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が出した日本製鉄への資産差し押さえ命令の「公示送達」の期限(8月4日)が迫っても、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は「司法判断の尊重」や三権分立の支持を理由に事態の黙認を続けてきた。

 最高裁が確定判決を出した2018年10月末以降、韓国政府と文政権の姿勢に変わりはないが、この1年9カ月余り、韓国側は「知恵を集めて」(文在寅大統領)問題解決に向けた議論は進めてきたとしている。しかし、判決直後から問題への対処を任された知日派の李洛淵(イ・ナギョン)前首相が事実上、さじを投げるような発言をするなど、韓国側で解決策は見いだせていない。

 文喜相(ムン・ヒサン)前国会議長が昨年末に提出した解決法案も、5月下旬に廃案となった。韓国は国際的な協定を無視し、自国の司法判断を尊重したがために“自縄自縛”の状態が続いており、文在寅政権による強い介入がない限り、日本企業の資産現金化(韓国での保有株式の売却)は時間の問題だ。

 韓国は一方で、資産の現金化を強行した場合の日本の「報復」を警戒している。韓国メディアは「日本の報復措置」としてビザ(査証)発給の厳格化や韓国産製品に対する追加関税措置、韓国への送金規制などを挙げており、日本からの逆襲が続くものと予測している。

 また、日本の報復への対抗策をどう取るかの議論も出ている。

 原告側代理人は2日、「(韓国内の)適法で正当な法執行手続きに他国が報復をすることは違法で、非理性的だ」との声明を出した。

 問題の日本製鉄の資産現金化について韓国では「年内か年末がヤマ場」との見方が多い。事態打開の糸口は、韓国の裁判所が命令を出さず株式売却に向けた次の手続きに「待った」をかけるなど、司法(地裁)の裁量のみにかかっているというのが実情だ。

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