李登輝氏死去 被災地の首長らが語る元総統の「素顔」

 7月30日に97歳で死去した台湾元総統の李登輝氏は生前、「奥の細道」の足跡をたどるため東北を巡ったほか、東日本大震災の被災地を訪れ、地元住民と交流を深めた。「心安らぐひと時だった」「被災地への思いに感謝している」。当時を知る関係者は李氏の素顔を振り返るとともに、追悼と感謝の言葉を寄せた。

 李氏は総統退任後の平成19年5~6月に岩手、宮城、秋田、山形の東北4県などを巡り、松尾芭蕉ゆかりの地に足を運んだ。19年に李氏が来日した際、仙台市長を務めていた梅原克彦氏(現・台湾の中信金融管理学院教授)は「何十年にわたって台湾の自由と民主のために戦い抜いてこられた方。(宮城を訪問した際は)心からリラックスしている様子だった」と当時を振り返る。

 当時、JR仙台駅に到着すると約100人の歓迎を受け、日本語で「ありがとう」と応じ握手を交わしていたという。秋田市訪問の際には国際教養大学で講演。李氏が講演した唯一の日本の大学となった。梅原氏は「『奥の細道』を歩くという李登輝さんの長年の夢が実現し、心安らぐひと時を過ごされた」と話した。

 李氏は27年、震災の被災地である岩沼市を訪問。犠牲者を慰霊する「千年希望の丘」のモニュメントに献花した。李氏に被害状況を説明した岩沼市の菊地啓夫市長は「被災地を思い、モニュメントに花を手向けてもらった。ありがたかった」と当時を振り返る。

 千年希望の丘の周辺には震災前、多くの人々の暮らしがあったことを菊地市長が李氏に説明すると、李氏は「被災した人々の生活は大丈夫か」と被災者に思いをはせたという。

 訪問当時、李氏は「千年希望の丘に植樹をしたい」と話したが、実現はしなかった。菊地市長は「(死去の)ニュースを聞き、残念だった。被災地に心を寄せてもらい感謝している。植樹が実現しなかったことは心残りだ」と語った。

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