中国問題が「ポスト安倍」の最大の焦点 親中勢力に“忖度”か批判加速か…候補の正念場が迫っている

ニュースの核心

 米軍と中国人民解放軍が南シナ海で同時に、軍事演習を展開した。新型コロナウイルスへの対応で、世界各国が手いっぱいな間隙を突いて、中国が存在感を誇示する一方、米国は「思うがままにはさせない」と牽制(けんせい)した形だ。

 米軍は4日から、原子力空母「ロナルド・レーガン」と「ニミッツ」、駆逐艦などを加えた空母打撃群2つを南シナ海に派遣し、演習を始めた。

 公式には、「いかなる政治や世界の情勢を反映したものではない」と説明している。だが、同じ時期にパラセル(中国名・西沙)諸島付近で、中国海軍が軍事演習をしているのは、もちろん織り込み済みだ。

 米国は北朝鮮情勢が緊張していた2017年11月、空母3隻を同時に日本海へ派遣し、合同演習した。このときはドナルド・トランプ大統領が韓国国会で演説し、「われわれを甘く見るな」と警告した。

 今回は2隻だが、南シナ海の人工島に軍事基地を建設し、わが物顔でふるまう中国に対する警告であるのは明らかだ。マイク・ポンペオ国務長官は3日、ツイッターで中国に対し、「中国による南シナ海の係争海域での演習は非常に挑発的だ」と批判した。

 私は先週のコラムで、沖縄県・尖閣諸島を中国の侵略から守るために、周辺海域での日米合同軍事演習を提案したが、演習が有効な警告ツールになる実例である。

 そんななか、日本の永田町では「ポスト安倍」論議が盛り上がっている。もちろん着地点はまだ見えないが、新型コロナに加えて、香港情勢が緊迫するなか、中国問題が最大の焦点になってきた。

 日本は中国にどう立ち向かうのか。自民党は二階俊博幹事長が「親中派のドン」であるのは、よく知られた通りだ。外務省も中国専門家らが集う「チャイナスクール」を中心に親中派が強い。

 「ポスト安倍」候補は、親中勢力の意向を忖度(そんたく)して、中国批判をためらうのか、それとも批判を加速させるのか。私は中国に甘い態度をとれば、支持を失うとみる。

 なぜかと言えば、いまや一般国民だけではなく、中国をビジネスチャンスとみてきた企業にも、中国への警戒感が高まっているからだ。

 中国が香港に導入した「国家安全維持法」は香港市民だけでなく、外国人や外国企業にも適用される可能性がある(第38条)。加えて、トランプ政権の対決姿勢を見て、「中国ビジネスに深入りするあまり、米国を怒らせて制裁を食らったら元も子もない」と神経をとがらせているのである。

 政治家が中国に甘かったとすれば、最大の理由は支持者や支持企業が「中国とのビジネスを望んだ」、あるいは「働き手として、中国人就学生を必要とした」からだ。だが、その前提が新型コロナと香港問題で崩壊しつつある。

 同盟国である米国は、共和党も民主党も「反中国」だ。11月大統領選の結果にかかわらず、米国は対中対決姿勢を強めるだろう。この潮流を感じ取れないようでは、とてもじゃないが、日本の舵取りは任せられない。「ポスト安倍」候補の正念場が迫っている。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)

 ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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