全人代 中国、香港に国家安全機関 「一国二制度」の形骸化は不可避

 【北京=西見由章】22日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)で、王晨(おう・しん)全人代常務委員会副委員長は、香港が国家安全を維持するための法制度と執行メカニズムに関する議案を提案した。中央政府の国家安全当局が香港に現地機関を設立できるようになるほか、全人代常務委が香港に導入する法律を制定することが可能になる。王氏は、同常務委が香港の「国家安全の維持に関する法律」を早急に制定する方針を示した。

 議案が承認されれば「一国二制度」の形骸化が進むのは不可避だ。香港市民らの激しい反発を招くのは必至で、反政府デモなどが収束に向かうかは不透明だ。

 議案は「香港が国家安全を維持するための法律制度と執行メカニズムの確立に関する決定」案。規定によると全人代常務委が「香港の具体的な状況」に照らして関係する法律を制定。香港基本法18条で、香港に中国の法律が適用できると規定された「付属文書3」に加え、香港政府が現地で公布する。

 決定は「一国二制度」の全面的で正確な貫徹や、香港人による高度な自治の方針を強調。さらに「外国や国外勢力」が香港に干渉することに「断固として反対する」としている。

 国家主権の統一や領土の保全に関する香港政府の責任も明記した。反政府デモに対する徹底した取り締まりを求める構えだ。

 王氏は香港における反政府デモが「著しく国家主権と安全、発展の利益を損なっており、厳しく処罰する必要がある」と決定の必要性を説明した。

 北京の政治研究者は「中央政府が香港への圧力を強めたことで、当初少数派だった香港の独立派が徐々に増加している」と指摘する。今回、中国が一線を越えたことで、香港の混乱が一層拡大する恐れもある。

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