「韓国与党急進派に存在感 日韓関係に影響も」小此木政夫・慶応大名誉教授

 有権者の関心は新型コロナウイルスへの対策に集中していた。国家の危機に際し政権支持が上昇する効果もあったが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が指導力を発揮したことが、政権与党勝利の最大の要因だろう。ただ、言い換えればコロナ対策という「単一イシュー」で勝利したにすぎない。強引な政権運営に走れば、2年後の大統領選では全く異なる結果を生む可能性もある。

 系列政党を加えて全体の5分の3にあたる180議席を獲得し、与党「共に民主党」は法案の単独処理を含む議会運営の主導権を握った。大統領支持率が50%を超えた時点で、選挙戦の帰趨(きすう)は決まっていた。

 今回の結果を受けて、政権・与党内では文在寅大統領に近く、理念的な政策に固執する勢力が存在感を増すだろう。注目するのは、今後「数の力」を背景に急進的な左派政策を推進するのか、それとも大多数の国民が求める経済再建を優先するかだ。

 現政権は富の分配を中心とする雇用政策や社会保障にこだわり、企業活動を活発化することに関心が薄い。傷ついた韓国経済をいかに再建するかというのは、最も苦手なテーマだろう。しかし、野党側は今回の選挙で、この問題を争点化することに失敗した。

 2年後に控える次の大統領選までに、与党内で急進派と穏健派の対立が激化する可能性もある。そうなれば野党の動きも絡み、今後の展開は予断を許さなくなる。

 日韓関係への影響も、こうした内政の動きと密接に関連する。現状では、理念を重視する政府・与党が「被害者中心主義」の看板を下ろすことは考えられない。徴用工問題で差し押さえ資産の現金化が執行されれば、両国関係は最悪の事態に陥るだろう。(聞き手 時吉達也)

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