新型肺炎、米中の新たな波乱要因 貿易戦争「一時休戦」

 【北京=三塚聖平】「第1段階」の貿易協定の発効を受けて米中両政府が制裁関税の一部を引き下げたことで、世界経済を巻き込んだ貿易戦争は「一時休戦」に入った。だが中国は一息つく間もなく、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)という新たな経済リスクに直面している。感染拡大の影響で第1段階の協定の柱である米製品の輸入拡大が短期的に難しくなる恐れが浮上するなど、米中協議をめぐる新たな波乱要因となる可能性がある。

 「多過ぎる不確実性に直面している」

 香港ネットメディア「香港01」は、中国経済が置かれた現状についてこのように指摘する。米国との貿易摩擦が一段落してある程度落ち着きを取り戻すはずだったが、新型肺炎という想定外の事態が中国経済を揺さぶっている。

 新型肺炎による打撃は多方面に及んでいるが、今後の米中協議への影響も懸念されている。第1段階の協定では、中国が農産品や工業品などの輸入を2年で計2千億ドル(約22兆円)増やす数値目標が盛り込まれているが、中国では工業製品やエネルギーなど多くの分野で需要が落ち込んでいるとみられる。さらなる感染拡大を封じ込めるため、中国各地で企業活動が制限を受けているためだ。そのため、短期的には輸入拡大の実行が危ぶまれている。

 7日に行われた米中両首脳による電話会談では、第1段階の協定を履行していくことで一致。ただ、中国の習近平国家主席がトランプ米大統領に対し、米農産品などの大規模購入が遅れる可能性があると伝えたと米側が明らかにしている。

 第1段階合意の協定文には「自然災害や、その他の双方が制御や予測ができない事態」によって協定を期日通りに履行できない場合には、双方が協議を行うとの規定がある。今後、この規定に関して調整が進められる可能性が指摘される。

 また、トランプ氏は「第2段階」の交渉を開始するにあたって自ら中国を訪れる意向を示していたが、今回の事態を受けて今後の協議がどう進められるか不透明感が出ている。

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