「1000人の中国人到着」「駅閉鎖」 東南アジアでフェイクニュース蔓延に苦慮

 東南アジアで、新型コロナウイルスに関するフェイクニュース(偽情報)が蔓延(まんえん)し、各国が対策に苦慮している。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行の記憶から誤情報が広がる素地があるという。各国の保健当局は根拠のない情報を信じないよう呼びかけている。

 中国・武漢からの旅行者ら16人の感染が確認されたマレーシアでは、「1000人の中国人の訪問者が(観光地の)ペナン島に到着した」「コロナウイルスで死亡した中国人患者が空港ターミナルからひそかに移送された」などの虚偽の情報が拡散した。地元メディアによると、警察当局は8日までに虚偽の情報を広めたとして、男(34)ら14人の身柄を拘束した。

 シンガポールではインターネット掲示板に「新型ウイルスによる肺炎で治療中だった男性が死亡した」という内容の投稿があった。政府は1月27日、昨年成立した偽情報・情報操作対策法を適用して、掲示板の運営者に削除を命じた。

 また、「構内で感染疑い例が出たため、地下鉄駅が閉鎖された」との情報も流れ、運輸当局が否定。政府が発信する情報を確認するよう求めている。

 タイ当局もソーシャルメディアで流れる新型コロナウイルスに関する情報の75%は完全な虚偽、あるいは虚偽の情報が混じっているとしている。

 SARSは東南アジアでも猛威を振るい、シンガポールでは33人が死亡。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の経済成長率は平均で0・5%ほど押し下げられた。シンガポール保健当局は「SARS拡大の記憶もまだ鮮明で、住民はさまざまな情報に過剰に反応する可能性がある」と分析。フェイクニュースの拡散を阻止したい考えだ。(シンガポール 森浩)

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