習近平氏、強権で求心力維持 新型肺炎、幹部ら徹底追及

 【北京=西見由章】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの中国全土での感染拡大を受け、習近平指導部が強権的な手法を強めている。地方政府が混乱し、当局への批判も広がる中、問題のある幹部らの責任を徹底追及するよう号令をかけた。習指導部の権力基盤がまだ弱かった政権の1期目に、反腐敗闘争で求心力を高めたのと同じ構図だ。

 湖北省党規律検査委員会は4日、同省赤十字社の副会長を免職とするなど3人を処分した。赤十字社が寄付を受けたマスクの種類や病院への配布数の情報公開がいい加減だとして、インターネット上で批判が集まっていた。同省黄岡市では幹部級6人が免職になるなど、公表されているだけで400人以上の地方政府幹部らが処分されている。

 「多数の人が失業に直面している。国が(感染源とされる)野生動物売買をしっかり規制していれば」

 中国のネット上では、当局による削除が追いつかないほど、批判が渦巻く。

 北京の共産党筋は「(感染が発生した湖北省の)武漢では幹部らが責任の押し付け合いに必死だ。全国的に(当局内の)足並みが乱れている」と指摘する。

 習氏は3日の会議で「全国が碁盤の石のように一体とならねばならない」と党中央の統一的な指導を指示したが、トップダウンによる指揮命令系統の乱れも示唆した形だ。さらに「党中央の指示に力を尽くさない者、責任を人になすりつける者」については、本人だけでなく党や政府の幹部も問責する考えを示した。

 国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の開幕が1カ月後の3月5日に迫ってきた。米国が拠点の華字サイト「博聞」は「人心鼓舞のため予定通り開催を主張する習派と、延期を訴える李克強首相ら反対派が対立している」と報じた。だが、北京の大学教授は「開催すれば感染拡大の危険があるだけでなく、湖北省や武漢市の代表は出席できないだろう」と指摘した。

 共産党筋は「トップへの信頼度が下がっているのは事実だ」としつつも、「習国家主席の他に重責を担える人物はいない。中枢にいる重鎮も多くが腹心で、大きく権力基盤が揺らぐことはない」と話している。

 一方で、カンボジアのフン・セン首相が5日、北京を訪問した。感染拡大が続く非常事態ながら、この時期にも外交日程をこなせる余裕が習指導部にあると内外に示す思惑が透ける。

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