一般教書演説 「メロドラマ演出で徹底した支持基盤固め」 中山俊宏 慶大教授

 トランプ米大統領の今回の一般教書演説は、保守派の支持基盤固めを徹底して狙った内容で、メロドラマのようになっていた。

 演説では、妊娠後期の中絶を禁止する法案制定を呼び掛け、メキシコ国境の「壁」建設の継続を表明するなど、支持基盤が重視する要素を多く盛り込んだ。

 そして、末期の肺がんを公表した保守派の論客、ラッシュ・リンボー氏を演説会場でメラニア夫人の横に座らせ、米国の文民最高位の勲章である「大統領自由勲章」を授与するサプライズをみせた。リンボー氏は支持基盤の中でスター的な存在で、メロドラマの演出に保守派の市民は熱狂しただろう。

 これぞという新たな政策の注目点はなかったが、「偉大なる米国の再起」というストーリーを固めていくため、経済的な成果もうまく並べて、視聴者を飽きさせなかった。

 一般的に、一般教書演説は大統領が自身の成果をダラダラと話し、数日後には忘れ去られる。だが今回の演説は、北朝鮮などを「悪の枢軸」と非難した2002年のブッシュ大統領の演説と同じように、強烈な印象を与えた。11月の大統領選に向けた事実上の選挙演説といえるだろう。

 トランプ氏は、下院民主党が主導した自身への弾劾裁判に関して民主党を攻撃することも可能だったが、そういうことはせず、大統領らしく振るまおうとした。ただ、トランプ氏が議場でペロシ下院議長(民主党)から求められた握手を避けたことに、弾劾裁判をめぐるいらだちが表れていた。(聞き手 坂本一之)

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