GSOMIA、韓国で続く国論二分 対日協議次第で批判再燃も

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を失効ぎりぎりで回避したことは、日米韓関係の「破局を避けた」として、韓国の世論や政界はおおむね歓迎している。ただ、文政権はあくまで日本の輸出管理厳格化の撤回が前提だと主張しており、今後の対日協議で成果がなければ、批判の再燃は避けられない。

 今回の協定失効回避で注目された人物がいる。23日午前0時の失効期限を前に20日から「破棄撤回」などを訴え、大統領府前でハンガーストライキに入った最大野党「自由韓国党」の黄教安(ファン・ギョアン)代表だ。

 破棄回避決定後には「黄代表の勝利だ」と支持者らの喝采を博した。しかし、24日もハンストを続行している。文政権の検察改革関連法案などに反対しているからだ。黄氏のそばでは、文大統領の対日強硬路線を支持してきた左派系団体がデモを行い、「国民を無視した屈辱的な決定だ」と政府を激しく批判した。

 8月の破棄決定以降の騒動をめぐって韓国紙、朝鮮日報は「韓米同盟に傷を残し、国内でも確執と国論二分が続いた。実利、名分、国益を全て損なう『失われた3カ月』だった」と論じた。失効回避後も大統領府前で続く光景はくすぶる確執を映し出している。

 今回の決定の理由について、大統領府高官は23日、記者団に「日本が輸出管理措置の再検討の意向を見せた」ためだと説明。措置を撤回する案を議論する当局間対話が始まるとの見通しを示した。日本がいつまでに応じるかが抜け落ちていると問われると、「日時を想定していないが、いつまでも待てない」と述べ、今回中断した世界貿易機関(WTO)への提訴手続きは「いつでも再開できる」と強調した。

 日本政府は輸出管理に関する協議開始で合意はしたが、措置撤回には一切、言及していない。文政権が国民向けに釈明するため、措置撤回を半ば既成事実化させたことは今後の日韓協議の障害になる恐れもある。文政権は“猶予”を与えられただけで、これから対日外交の正念場が始まるといえそうだ。

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