米軍トップ、在韓米軍“撤退”示唆 GSOMIA失効期限にらみ異例の「圧力」 朝鮮日報は「核武装すれば不要」の異常

 ドナルド・トランプ米政権が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権にかつてないほどの「圧力」をかけている。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効期限(23日午前0時)を見据えて、世界最強の米軍幹部が続々と韓国入りしているのだ。米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は「在韓米軍の撤退」まで示唆して、事実上、レッドチーム入りしている文政権を恫喝(どうかつ)した。これに対し、「核武装→在韓米軍不必要」と説く韓国メディアも登場した。14、15日にソウルで開催される米韓国防当局の協議が、最大のヤマ場となりそうだ。

 《米統合参謀議長「米国民は、なぜ在韓米軍が必要か疑問に思っている」》

 朝鮮日報(日本語版)は13日、こんなタイトルの記事を掲載した。

 GSOMIA維持をめぐる、米韓両国の駆け引きが激化するなか、ミリー氏が訪韓前に立ち寄った日本に向かう軍用機上で11日、「普通の米国人はなぜ、米軍が『金持ちの国』である韓国や日本に必要なのか、費用がどれだけかかっているのかを疑問に思っている」といい、「在韓米軍の存在を疑問視」したことを報じたものだ。

 ミリー氏は、トランプ大統領への忠誠心が高いとされる。韓国に対し、「在韓米軍の撤退」というカードをチラつかせて、「防衛費分担金の増額(5倍増)」と「GSOMIA維持」を迫ったとみられる。

 注目される14日の米韓軍事委員会(MCM)には、ミリー氏やインド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官が、15日の米韓定例安保協議(SCM)には、マーク・エスパー国防長官や、ランドール・シュライバー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)らが顔をそろえる予定だ。

 米軍幹部は改めて、米国主導で締結されたGSOMIAの維持を、韓国側に求める方針だ。同協定は、東アジアの平和と安定を維持してきた「日米韓連携の基盤」といえる。

 そんなタイミングで発信された“脅しのセリフ”だが、実は、韓国側の発言がミリー氏を怒らせた可能性がある。

 韓国大統領府(青瓦台)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は10日、「(GSOMIA破棄は)わが国の安保に与える影響も限定的だ」「韓米同盟とは全く関連がないとみている」と発言した。韓国国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官も11日、「今のところ(政府内で、GSOMIA延長を検討したことは)ないと承知している」と語った。

 米軍の要請など聞く耳を持たないという態度なのだ。そもそも、トランプ政権は以前から、文政権に不信感を持っていた。

 文政権は2017年10月、中国の習近平政権に対し、(1)米国の高高度迎撃システム(THAAD)の追加配備はしない(2)米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない(3)日米韓の安保協力を同盟には発展させない、という「三不の誓い」を立てていた。

 さらに、GSOMIA破棄は、北朝鮮が以前から要求していたもので、中国も賛成していた。

 文政権はあくまで、日本が韓国への輸出管理を強化し、韓国を、貿易上優遇する「グループA(「ホワイト国」から改称)」から除外した対抗措置として「GSOMIA破棄」を打ち出している。

 だが、トランプ政権は「GSOMIA破棄=韓国のレッドチーム入りの宣言」とみているフシがある。

 文政権も「反米・離米」に傾いている可能性がある。

 朝鮮日報(日本語版)は13日掲載の社説で、ミリー氏の発言を取り上げ、「これはいわば『最後のとりで』が崩壊したことを意味する」「韓国国民は北朝鮮や中国、ロシアから国を守るため核武装を含むあらゆる決断を下す以外にないだろう。そうなれば韓国にとって在韓米軍は必要ない」と結論づけているのだ。

 韓国を代表する新聞が社説で「核武装」「在韓米軍は必要ない」と書くとは尋常ではない。

 14、15日に行われる米韓国防当局の協議をどうみるか。

 元韓国国防省北韓分析官で、拓殖大学主任研究員のコ・ヨンチョル氏は「文政権が『GSOMIA破棄』に踏み切るかは、五分五分だろう。破棄を通告して、在韓米軍の縮小・撤収まで求める恐れもある。それが『反米・離米』の文政権の狙いかもしれないが、韓国世論は『文政権は国防音痴だ』『安全保障を任せられない』と猛烈に反発するはずだ。致命的打撃となり、文政権が倒れるかもしれない。トランプ政権は、文政権を見限っているが、中国や北朝鮮とのパワーバランスを考えると、在韓米軍の縮小はあっても、完全撤退はあり得ないだろう。強烈な圧力を加えているのは、文政権を倒すためではないか」と分析している。

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